♪ 近況&インフォメーション ♪
価値と価格。
デフレのせいで物の値段が狂っています。
いろいろな業種で大手の量販店は、価格を下げ、それでも足りず人を切って下請けを切って自社生産に切り替えて、また価格を下げて、…
家電も通販大手では赤字の値段で販売しているようです。家電以外の通販売り上げで補てんできるとか。。家電専門店からすれば堪らないでしょうね。
安いものはそれなりのものです。
安く売れるということは何かを捨てていなければできないからです。
物の値段には原材料以外のものがのっかっています。
原料費だけを類推してコスパコスパと騒ぐ風潮に食傷ぎみです。
立派なハコでお店をやっていればそれが販売価格にのってきますし、
技術と時間をかければ価格はあがります。
電子レンジでもできるような単純な過程をアルバイト同然の職人もどきに操作させれば苦労もないし価格も抑えられるし、デフレ社会向きなのかもしれません。
ただ、本物志向の人にとってはどこまでいっても物足りません。
立派なハコで結構な値段をとっているところでも、肝心の商品がデフレ型の工程でつくられていることも多いです。「サギだ!」と言いたくなります。
高品質な原材料ばかりをうたっている、寄せ集めのコレクターのような人もいます。
たとえばコーヒーには「生豆7割焙煎2割抽出1割」という表現があります。
しかし、ことし、コンテストなどにいくつか出た自分が感じたのは、
「生豆5割焙煎5割」です。抽出は豆販売には関係ないから省略、というか技術が必要な焙煎豆は?です。
焙煎が下手な人と、ふつうの人と、技術がある人
が、自家焙煎の人たちにはいるのが実感できました。
下手な人の手にかかったらせっかくのCOEもだいなしになります。
そういうデリケートな技術が必要な業種は技術料や手を掛ける時間がかかります。安売りしようなんて考えられません。高級品ですから。
逆に、安売りできる業種では以前はどうだったのかと考えると、言葉は悪いですが適正価格で販売していなかったのでは?と思えます。
外食は好きなほうなのですが、この1年くらいはあきらめて外食しています。
本当に味で満足できるところはわずかで、安かろうまずかろう、かハコ(建物)代がのっていて高いところばかりで。。
イメージ操作に振り回される自称「情強」に流されて、おそろしい空虚な社会が現れていると思います。
もう、そういうのにはついていけません。
だから、ますます逆行したいと思います。
原料は手に入れられる範囲で高品質なもので(限界ばかりありますが)、
焙煎は数種類のローストを組み合わせて、
ブレンドも実はアフターではなくプレとアフターと異焙煎度シングルオリジンなんかも組み合わせていて、
普通のお店のひとはたぶんやってないと思います。
強い味付けがおいしいという強力な味付けが好みの現代人タイプのお客様には繊細すぎるかもしれませんね。
ただ、その違いはわからなければ、伝わらなければ意味がないわけです。
だから、だれでも理解できる味ではないですが、毒された舌でなければ伝わるようになっています。
今年はローストの大会、団体もそうですが、個人でもエントリーしました。ファイナルにはもれましたが、サザコーヒーさん以外は付近のロースターさんは決勝にはいらっしゃらなかったので、ファイナリストのすぐ下にいた自分は正直ほっとしました。
自分の技術や理論も国内でそれなりのものであることが客観的に評価された気がしたからです。
当店のコーヒーはコントロールしてこういう味にしています。
ゴチャゴチャした味は苦手なのです。カラメル化してちょっとスモーキーで。
酸味だけが前面にでていなくて、甘味と苦みとのバランスがよい、軽すぎず重たすぎず。ブレンドによってはかなり深煎りしますが。
価格の話に戻ります。
当店で販売しているコーヒー豆は高級品として作って(焙煎して)扱っていますので、安く販売できる大量生産品ではありません。なぜ、高い?なんて野暮な疑問は持たないでください。感じれないのであれば感じれないのです。
ハコ代や仕掛けで販売価格を上げ下げできるスタンスでコーヒー店をやっているのではないのです。
そんなこころある作り手と、こころある受け手の信頼関係だけを望んでいます。
苦手なんです、舌も心もない、文字通り消費するだけの関係を求める人々は。
これが先日書いた、「原点」です。
それなりの覚悟でコーヒーを販売しているので、それなりの覚悟でお越しください。
いえ、ただ普通においしいコーヒーをお飲みに、人生の休憩時間に旅人のようにお越しいただければ嬉しいです。
シンプルで簡単な話なのです。