佐久間 露涓(さくまろけん)/佐久間 和子(さくまかずこ)
油彩画家・万年筆イラストレーター
油絵の制作や、万年筆でのドローイングを行っている。
幼少期から動物と絵が好きで、一時期は獣医師を志したこともあるが、制作への興味に惹かれ美術大学に進学。
大学卒業後は、イラストレーターや絵画教室の講師の経験を経て、2005年から文具店の仕事に携わる。
文具と向き合ううちに、プロダクトに興味を持ち、以後、モチーフとして工業製品が登場するようになる。
【Artist Statement】
情報過多な現代において、多くの人は情報を積極的に得ようとするというよりは、むしろ、強制的に入ってきた膨大な量の情報からわずかなものだけを選択し、残った多くの情報は無意識に放棄しているのではないか。そんな中で、「余白を確保し、必要な情報とだけ対峙する経験」は貴重であり、それによって積極的に情報を収集しようとする人間の本能が刺激されるものと考えている。
作者である私も、そして鑑賞者も、余白のある作品と向かい合うときには、静かな空間で耳を澄ましてしまうように、普段は情報の波に鈍らされている感覚を無意識に開放することになる。
余白は東洋的な美意識であり、古来、水墨画や日本画には積極的に取り入れられてきた。日本では視覚芸術のみならず、例えば短歌のように必要最小限の言葉を残すことで散文よりも奥深い世界を表現しようとする文化もある。私自身、日本文化の中で生まれ育った者として、余白のある世界においては、日常ではかき消されてしまうような些細な事実に気が付くことができる、という体験を作品を通して表現していきたい。
【テーマ】
テーマはその時の展示や、興味によって変化する。
ただし、人工物を描く場合は一貫して道具としての役割があるが故の「存在意義の明確さ」に感心を寄せている。またペンギンは頻繁に描くモチーフの一つであり、漢字表記すると「人鳥」と表記するように、直立して群れで生きる姿に人間っぽさを感じて描いている。
【経歴】
女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻版画科 卒業
武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科 中退