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ベジアート
湘南ポモロンにシシリアンルージュ。初めて聞く名のトマトと出会ったのは、数年前の木工団地フェスティバルでした。スーパーでよく見る丸い形のものと違い、細長くつややかに光る洒落た名前のトマトを売っていたのが、株式会社ベジアートの古川愼一さんです。
岐阜で縫製工場を営む両親のもとに生まれた古川さん。〝日本から出たい〟と大学を1年で中退して海外に飛び出た年上のはとこの生き方に触発され、県外の大学に進学後、金融の世界に入ります。時はまさに「24時間戦えますか」という流行語が生まれたころ。1週間の睡眠時間がトータル8時間という激務も経験した証券マン生活を経て60歳になったその月に退職、株式会社ベジアートを設立しました。
スーツを脱いだ元証券マンが選んだのは、農業。「金融業は虚業といわれる世界。自分の手で生産する実業に取り組みたいと思いました」。経験ゼロからのスタートでも努力次第で道がひらける可能性を信じ、トマトの栽培を決めました。
身につけるべきは、知識・技術・人脈の3つと定め、早速行動に移します千葉大の植物工場研究会で学び、最新設備を備えたハウス会社で研修を受け、県の農業技術センター長にアポイントを取り、面会の機会に恵まれました。
風光明媚な平塚の地に太陽光型統合環境制御ハウスが完成したのは、会社設立から2年後の2018年。現在8年目のトマト栽培に挑んでいます。
外気温比マイナス5度のハウス内。ベジアートのトマトはヤシガラを培地にした養液栽培で育ちます
古川さんから誘いを受けて、栽培の現場を見せていただきました。
念入りに手指消毒をしてから防護服に身を包み、厳重に張られたネットをジグザグとくぐって、やっと1万本のトマトが育つハウスの中に入れます。
6種類のトマトが高くツルを這わせる間をぬって、複数のスタッフが作業をしていました。
収穫のベストタイミングを見極めるのに大事なのは、色の変化を目で見て判断できること。
「どうぞ」と2つ出されたトマトを順に口に運ぶと、一方はごくわずかに残る酸味と、もう一方は甘みだけが広がる味わいの差は歴然でした。
前者のトマトが少し黒みを帯びたような赤になるまで、たったの半日だそうです。
古川さんが目指し、作り続けているのはえぐみや青臭さを除き、出汁のような旨みと甘味を持つトマト。生食のみにとどまらず加熱調理の幅を広げることで、まだまだ市場は成長できると考えています。
ハウス内の温度管理や灌水量の微調整など、トマト栽培に休みはありません。近所にあるお気に入りの温泉施設でリフレッシュして、古川さんは今日もハウスに向かいます。
店頭に立つ古川さん夫妻(右)。木フェス常連のパン店・DESTUREさんからの紹介で出店が始まりました
【木工団地フェスでのイチオシ商品】
湘南ポモロンレッド&ゴールドのみで作った「100%湘南ポモロントマトピューレー」と、シシリアンルージュとサンマルツァーノリゼルバで作った「100%イタリアントマトピューレー」は、いずれも原材料がトマトのみという瓶詰め商品。
「なにも具材を入れず、このピューレーだけでパスタを作ってみてください」という教えの通り、これ以上ないシンプルな一皿でランチにしました。
口いっぱいに広がる、トマトの濃い味わいと深い旨み。
気づけばぺろっと完食していました。
それぞれのトマトの特徴が際立つピューレーで、異なる2つの味わいを食べ比べてみるのがおすすめです。
濃い味わいと、原材料欄「トマト」のみのシンプルさで二度驚くトマトピューレー
古川さんが手塩にかけたトマトは、平塚市のあさつゆ広場、伊勢原市のあふり〜な伊勢原店、あふり〜な比々多店の店頭と、産地直送通販サイト「食べチョク」でも購入が可能です。
湘南地域や都内のマルシェ出店状況は、インスタグラムで情報発信しています
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