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2024-09-19 21:15:00

薗部産業株式会社

【つくり手ヒストリー】

仁取(にとり)皿やめいぼく椀など、生活に調和した木のテーブルウェアを生産する薗部産業株式会社。「僕が継いだら4代目」と快活に笑う薗部弘太郎さん(35)は、同社のプロダクトデザイナーです。

薗部産業の前身は、木工業者へ木材を販売する〝材料屋〟として1946年に創業した薗部木工。すぐに時代は高度経済成長期に突入、先見の明に長けていた祖父・弘さんは「これからは、材料ではなく商品を売った方が良いのでは」と、アメリカへ輸出するためのサラダボウルやポップコーンボウルの製造へと舵を切ります。これが転機となりました。弘太郎さんの記憶に残るのは、小柄でクラウンをカッコよく乗りこなす祖父の姿。後を継いだ父・利弘さんは、いまや薗部産業の代名詞ともなっためいぼく椀※を生み出します。

二人の背中を見て育ったものの「継ぐ気はなく、3年間社会人生活を経験してから考えよう」と工学部に進学。
在学中には「近くて遠い国」と感じていた中国で、文化も風習も日本とまったく異なる、刺激的な8ヶ月の留学生活を送りました。
帰国してしばらく、自分の進むべき道を見失っていた時期があったという弘太郎さん。「世界は広い。そしてもっと世界を見たい」と強く思ったと言います。復学し心身ともに健康を取り戻してからは、資格取得にインターンシップ体験と、残りの学生生活を精力的に過ごしました。

進学前の決意通り、日本有数の産業機会メーカーに就職。3年間の営業職を経験したのち、父に相談し家業に入ることを決めました。1年目は製造の現場で、2年目は営業に、3年目からはプロダクトデザイナーに就き、気付けば8年目となった現在。尊敬するファッションデザイナー・川久保玲氏の「前進せず同調、無難でいいの?」の言葉を胸に、いつか父の作っためいぼく椀を超えるものを!と意欲を燃やす毎日です。

 

 ※めいぼく椀シリーズは2021年、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞

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 薗部弘太郎さん(右)と、弟・玄士朗さんの妻で木工団地フェスの運営補佐を任された純子さん



【こだわり】
ものづくりにおいて、デザインに優れ機能性に富むものを生み出すは必須の条件。それに加えて「自分たちがつくった商品・自分たちのことを発信する、伝える力がとても大切だと考えています」と弘太郎さんは話します。
例えばプラスチックの容器に入った数種類の惣菜を木の器に盛りかえてみたら、単なる「食べ物」が温度を帯びた「食事」に変わったように見えたとき。「木の器を介して、人の暮らしを豊かにできるんだ」と強く感じると言います。その思いを伝えるのに有用な、1枚の写真が語る雄弁さを弘太郎さんは大切にしています。

商品は「つくり手(生産者)」から「つたえ手(店)」を通して「つかい手(ユーザー)」に届きます。つくり手は思いを込めた商品をつたえ手に託し、つかい手は率直な評価をつくり手に反響として届けるー。商品を中心に成り立つこのトライアングルのおもしろいのは、それぞれが互いの立場になり得る、という点。つくり手は製造の現場を離れればつかい手にもなるし、つかい手は商品を気に入れば人に勧めてくれるつたえ手にもなります。

弘太郎さんとの話中には「お客さまの立場で」、「お客さまの気持ちになって」という言葉が何度も出てきました。自分たちの器を手にした人の幸福度を想像するその先に、ものづくりの方向性が見えると信じて進む姿勢が垣間見えました。



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背後に並ぶ無数の鑿(のみ)を使い分け、熟練の職人の仕事は進む

 

【手にとってもらいたいもの】
毎回、薗部さんの新作やフェス限定品を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

今回のイチオシは、新作のケーキスタンド(写真中央)やオーバルトレー(同右)。丁寧な作りながら水洗いが可能、お手入れ楽ちんというのがうれしいテーブルウェアです。どんな秋の味覚を盛り付けようか、想像するのも楽しみですね。
さらに定番のマグボウルやめいぼく椀など、樹種やサイズもさまざまな商品が多数登場します。


春と秋の木工団地フェスをはじめ、年間30回ほどのイベント出店をとても大切な場と考えている弘太郎さん。「リピーターから聞かせてもらう使用感や満足度など、良い点も悪い点も含めて得るものがたくさんあります」と話します。
フェス当日発表になる限定品も登場予定とのことなので、Instagramでのチェックをお忘れなく!
 

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 新作のケーキスタンド(中央)とオーバルトレー(右)。「自由な使い方で楽しんでほしい」と弘太郎さん

 

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