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水舟造園 代表 桑原真幸様
「ツツジの花は満開に咲かせるべきではない。女性のかんざしのように添える程度がいい」堀さんが使用人に話していた言葉だそうです。
堀さんはツツジの葉や枝が少しでも伸びると使用人に剪定をさせて、庭園のツツジは常にクルンと丸い形に維持していたそうです。
堀庭園でツツジの手入れをする時にはいつもこの言葉が頭に浮かびます。「堀さんは100年以上も前にこの同じツツジを見て、そんな風に考えていたのか」と思うと、庭木としては定番のツツジにも歴史とドラマを感じます。
私個人にとっても、約40年前の小学生の頃にスケッチ大会で堀庭園を訪れて描いた滝の絵が家に残っています。
今も仕事をしながら「40年前の自分は、どこに座って描いていたんだろう」と思い出を振り返ることもあります。
建物と違い、庭園の庭木は成長を続けています。特に楽山庭園や和楽園は後ろの山を借景にしているため、庭園の成長はなおさら顕著です。作庭当初の庭園をそのまま維持することには正直、限界があります。庭木の成長はもちろん、個人庭園から観光庭園となったように時代の流れにも沿いつつも、堀さんが見ていた庭園の面影をいかに残していくかが、堀庭園の維持管理の魅力として考えています。
旧堀氏庭園の維持管理を任せていただいている上で、心掛けている事の1つに「原点回帰」が挙げられます。
これは堀庭園に限った事ではありませんが、津和野のような城下町には古くからの庭園が多く残っています。
これらの庭園は施主がどんな思いで作らせたものか、庭師がどう考えて作ったものか、当時の気持ちが見えてくるような維持管理を考えながら取り組んでいます。
「紅葉が綺麗だね」「秋にまた来たいね」「静かな中で滝の音に癒されました」など、多くのお客様に声を掛けられます。
ですが、“目の前に見える堀庭園”だけではなく“作庭100年を越える歴史を感じる堀庭園”として、「この庭を堀さんも見ていたんだね」「堀庭園はどんどん良くなるね」そんな風に言われるような仕事に繋げていきたいと考えています。
堀庭園は堀さんの思い出、私の思い出、ここを訪れた方や関わった方などいろんな方の思い出と歴史の詰まった庭園です。
名勝登録20周年の今回はそんな思い出や歴史を振り返るよいきっかけになりました。
そして、これからの未来では堀庭園にどんな思い出や歴史が積み重なり、庭園としてどんな表情を見せてくれるのか今後も楽しみです。