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2025-07-07 15:37:00

集落支援 桑原優子様

私が津和野に来たのは2012年の初冬。

都会からの移住だったこともあり、車の免許は持っているもののほぼペーパードライバー、しかも見たこともないくらいの大雪が降り(津和野としては平年並み)、家に閉じこもる日が続きました。そうしていても退屈なので、近所に出かけられるところはないか?と主人に聞いたところ、「堀庭園なら歩いて行けるよ」と教えてもらい、さっそく行ってみることにしました。

途中に、朽ちた洋館を右に見ながら(今思えば畑迫病院)歩くこと30分ほど、堀庭園に到着。

何やら古い立派なお屋敷だけど、日本建築にまるで疎い私にはその凄さ、価値は全く分かりませんでした。

それから数年後、集落支援員となり初めは堀庭園に、休職1年を挟んで今は旧畑迫病院に勤務しています。

 

私は、旧畑迫病院の集落支援員として一番大事なことは「ここの価値を多くの人に知ってもらうこと」だと思っています。

でも、そもそも「ここの価値」って何なのでしょう?大正時代に建てられた擬洋風の建築様式、最先端の医療を投入した病院であったこと、そしてそれが昭和の終わりまで残っていたこと、建て直してはいるが建築当初の形に忠実に復原していること。

手元にある資料を読めば、こういったことは言葉の上では簡単に知ることが出来ます。

来館されたお客様にもこういった説明をして「凄いですねえ」と言っていただくことも多いのですが、上辺の言葉だけでなくしっかり理解してお伝えできているか?と自問自答する日々です。

 

子供のころに読んだ文章で、「絵を見て『よく分からないな』と思っても、見続けて、考え続けていたら何かが分かるかもしれない」というものがあるのですが、旧畑迫病院ならびに旧堀氏庭園は、私にとってはこの文章の中の「絵」のようなものだなと感じます。

たとえば「ピカソの絵だから凄い」「ゴッホが描いたから素晴らしい」というのは、情報として「価値がある」と判断しているだけで、その絵の価値を分かっているわけではない。

それと同じように、旧畑迫病院・旧堀氏庭園の価値は私にはまだ分かっていないのではないかと思います。

そのうち分かるのかな?ずっと分からないままなのかな?とたまに不安になったりもしますが、いつか胸を張って「ここは凄いんですよ!!」と言えるように、これからも諦めずにいろいろな角度から見続けて考え続けていきたいと思います。