第 5章 流れない想念にはワケがある
3 なぜ不安が現実になるのか?
あなたの「善悪フィルター」(価値観 ・ よろい)」は「善いもの」を取り入れて、あなたに安心を約束します。一方で排除された 「悪いもの」はあなたの不安の種となります。
もともと一つであったものを分けたために、安心と不安との間を揺れ動くことになったのです。
どちらかにこだわれば、必ず他方を引き付ける仕組みが、皆さんには判っていません。
「他人からの指摘=悪、同情・甘い言葉 =善」というフィルターを持っている人は、普通の人なら何でも無いような言葉・状況になぜか反応(悪と判断)してしまい、「不安」想念、「イライラ」 想念、「怒り」想念が沸き立ち、時には狂暴になったりします。攻撃は最大の防御というわけですが、実際は性格のきつい人、攻撃的な人の内面は弱く、繊細です。
この善悪フィルターという価値観が多ければ多いほど、あなたは「安心」を得ますが、その分多くの犠牲を払うことになります。獲得した安心に比例して不安を引き付けるわけです。
まず、防御が強くなればなるほど攻撃を引き付けるので、ますます剌激に対して過敏になります。
何重もの鎧に身を固め、右手に刀、左手に盾をもって目をぎらつかせているあなたの姿は、「戦いたいから攻搫してくれ」と周りに触れて歩いているようなものです。
よろいの内側では、防空壕で爆音に怯えているかのように、あなたは緊張しています。
また、価値観というよろいは、あなたを重くし、不自由にします。
よろいを維持するために膨大なエネルギーを消耗するので、あなたはいつも疲れています。
よろいのおかげで、あなたは何かにいつも縛り付けられ、制限された感じがしています。
縛り付けも制限も、実はあなた自身が作り出したものです。
あなたの昧わっている疲労とストレスは他者から来るのでなく、あなたの中に由来するものです。
繰り返しますが、この「善悪フィルター 」を持ち続けていると、怖がっているもの、不安に感じているものを逆に引き付けてしまいます。
「男は信用できない」
と思っていると、安心できる女性の仲間が出来るのと同時に、なぜか接触のある男性は信用できない人ばかりとなり、あなたは「やっぱり男はろくなものじゃない」 との信念を強化します。
「捋来何か起こるとい けない から、備えが必要」
と思っていると、いずれ本当に事件や災害が起こって、保険会栓や銀行のお世話
になります。
あなたは「やっぱり備えあれば憂い無し、助かった」と胸をなで下ろしますが、実際は自ら望んだ通りの結果を引き付けるために、無駄な金と労力を割いて準備していただけのことです。
「人目につくのが嫌」
と思っている人は、目立たない安定期がしばらく続く一方で、ある時なぜか注目されたり噂されたり、恥をかくような事件が起こります。
何度も言いますが、安心を強く求めれば、不安を引き付けます。
どちらも表裏一体の関係にあることに気付かないと、いたちごっこは永遠に終わらないのです。
不幸への方程式を維持しているのは、他ならぬあなたです。
このフィルター は習慣によって刷り込まれた「条件反射」です。
刷り込まれているからこそ、なかなか自覚できません。
また、その起源を遡ったところで、記憶のない乳児期・胎児期に由来するものもあり、そもそも、それに気付いてもパターンが変わらないのであれば、何の意味もありません。
それよりもまず、結果として出てくる想念をひたすら観察していくことから、根っこに迫ることです。
観察していて気付く不快・不安な想念のほとんどは、反対のもの(快適 ・ 安心)
を過度に追求した結果です。
不快 ・不安から解放されたいなら、快適 ・ 安心をひたすら追求する自分をよく観察することです。
このふるい分けが無力化されてしまうまで想念観察を続けていくことです。