第 5章 流れない想念にはワケがある
☘エクササイズ 7 緊張している自分に気付く
あなたを不自由にしているものの正体は自分で見つけ、自分でなくしていく必要があります。
緊張の対象となるものとして、次のものについて書き出してみて下さい。
1 「~であってはならない」と、あなたが避けているもの (人、事態)
〔例〕 リストラ、一家離散、パートナーや友人との不和、恥をかくこと、本音をあからさま言う
2 「 ~でなければならない、 ~であるべきだ」 と思っているもの
〔例 〕 夏の盛りでも上着とネクタイは着用すべきだ、他人を嫉妬 ・軽蔑してはいけない、年賀状や盆暮れの付け届けは、たとえ親しくない人に対してもしておくべきだ、夫が遅くまで働いているのだから、その間妻は家でおとなしくしていなければならない
「こうであるべき」 「こうであってはいけない」というのは、ありのままの現状を認めていないことになります。
現状は理想から遠い、「足りてない」状態なので不安になり、緊張が生じます。
しかし、もっと重要で見落とされがちなものがあります。
3 あなたが虜になっているもの、夢中になっているもの、はまっているもの
〔例〕ギャンブル、娯楽、恋人、財産、コレクション
虜になっている、ということは、コントロールを相手に預けた状態、いわば奴隸状態です。本来惑星であったあなたは、今や衛星となって、その対象の周りをぐるぐる回っています。
競馬や切手などのコレクション、片思いの彼(女) といったものにに対して、一定の距離を置いて接することが出来ますか? いつでも捨てられますか?
寝ても覚めてもそのことを考えているようなら、あなたはコントロール「される」側になっています。不自由な、朿縳された状態にあり、さまざまなことに使えるはずのエネルギーがすべてそこに費やされます。
あなたがCDの収集にはまっているとします。
ただの収集癖なら、甘いものの食べ過ぎのように、不足感を満たしたいための埋め合わせ行為であるでしょうし、また、つらい仕事に対する埋め合わせなのかもしれません。
特にこのことについて当然のように考えている人は多く、
仕事 =つらい (悪) ←→ 趣味= 楽しい (善)
というバランスが定着しているようです。
実は、仕事をつらくしているのはあなた自身なのです。つらいという想念にはまっているのです。
本当につらくて嫌ならやめているはずです。
みなさんも、夢中になっているものに気付いたら、それがどんな緊張(ストレス)を解消するために必要なのか、考えてみて下さい。
[解放の手段 → その元にあるストレス]
・パチンコ、酒、タバコ、ドライブ、温泉→ 仕事や人間関係からくる緊張
・大人数で飲んで騒ぐ、携帯やメールの着信が気になる→寂しさ
・知識・情報の収集→知的不足感
・ケーキのやけ食い、デパートのバーゲン品あさり → 物質的不足感
以上から判ることは、何を取り込み、何を排除しようとしているか、というあなたの選択パターンです。
1のように何かを避けたがる時は、反対のものを強く求めているからであり、
2のように何かを強く求める時は、反対のものを避けたいからです。
このように、両者は表裏一体になっており、 一方から他方が判り、そして全体が見えてきます。
どちらも同じ緊張から生じているのだということに気付いて下さい。
〔付〕 執着 ( はまりこみ) 行為と想念との関係
想念からあなたのこだわりに気付くことができます。ある想念が気になっている(見たくない)時、きっとあなたは、その反対のものを「善」としてこだわっていることでしょう。
例えば「21世紀は本音の時代」 と言いましたがこれがこだわり(価値観)となると、本音を言わないこと= 悪となり、そういう人への不満の想念や、そういう自分を責める想念が流れます。
しかし、価値観(こだわり)はあなたの一部、つまり信念 ・信条となってしまっています。
観察を通じてまず想念に気付き、後でその根っこを探っていくしかありません。
ありがちな想念とこだわり(価値観)との関連をみてみましょう。
基本的にはこれらはすべて、人間の根本にある 「不安 ・ 不足感」に根差したものです。
どういう防御フィルター(価値観)を持っているかにより、その不安(不足 ・ 不満)感に色が付きます。
想念や執着の対象にバリエーションができてくるわけです。ストレートに不安 ・恐怖を味わわなくて済むよう味付けがしてある、と言ってもいいでしょう。
1 生存することに強い不安 (不足) 慼がある場合
流れてくる想念= 「死への不安」 「財産を失うことへの恐怖 金 =生の基盤、と思い込んでいるから ) 」
その穴埋め= 肉体的安心感、物質的安定の追求 ・・・ つまり、金銭に対して執着したり、貯金、社会 ・ 医療保険、土地の確保などに固執します。
2 感覚的なものに不足感がある場合
流れてくる想念= 不快感や欲求不満、極端な性欲
その穴埋め= セックス、食べ物や嗜好品(酒、タバコ、ドラッグ)に対する渴望、音楽その他の娯楽( 快楽 )へののめり込み
3 パワ — に対して不安(不足 ・不満)感がある場合
流れてくる想念=無力感、虚しさ、絶望感、コントロールされている感覚
あるいはそれらの反対である敵意、攻撃性、競争心、怒り
その穴埋め= 人よりパワフルであること(強さ ) の追求・・・といっても、何に「パワー」を見出すかは人それぞれです。
具体的には「他人からどう評価されているかを気にする」 「他人に認められることにこだわる」「地位や権力、達成感、才能、業績、知識 (情報 ) 、意味を必要以上に追求しようとする」等があります。
競争社会に生きる私たちとって3の問題は深刻であり身に覚えのある点が多々あることでしよう。
4 愛に対して不安(不足 ・ 不満)感がある場合
流れてくる想念=孤独感、嫉妬、拒絶感(見捨てられた、愛されていない、憎まれている)その穴埋め= 愛(情) を与えてもらうこと(他人から愛されることを強く求める)
しかし 安心や楽しさと結び付いた「愛情」は、孤独や悲しみと結び付いた「憎悪」と表裏一体なので、いっそう「憎悪」を引き付けることになります。これらも現代社会を生きる人間には切実な問題です。
安心 (満足)ばかり追求し、不安(不足 ・ 不満)を避けようとすれば、ますます波(安心 — 不安の交代)は大波になっていきます。
増幅しているのはあなたである、ということがお判りいただけましたか?