第 5章 流れない想念にはワケがある
2 価値観が想念を引き付ける
ボールが飛んできました。
あなたがどこかでインプットした価値観が壁(防御フィルター・よろい)となって、ボールを跳ね返します。壁が無ければ素通りです。
壁は壁で振動します。
この振動の波は「善〜悪〜善〜悪 ・・・・ 」という音を出しています。
こうやって 「想念の山と谷」 が生まれます。
前に「想念は勝手にやってくる電波」と述べましたが、価値観という磁石が想念を引き付けている、という観点に立てば、あなたが必然的に呼び込んだもの、と言えます。ただし、コントロールのしようがありませんので、「勝手にやってくる電波」とみなした方が、扱いやすいといえるでしよう。
あなたが善として取り込み、悪として排除している価値基準はなんでしょうか。
整理整頓 = 善 ←→ 散らかし放題 = 悪
瘦せている = 善 ←→ 太っている = 悪
貯金がある= 善 ←→ 貯金がない= 悪
一戸建の家に住む= 善 ←→ 借家住まい =悪
定職に就く= 善 ←→ 無職 / フリーター生活 = 悪
同僚や家族と平和に過ごす= 善 ←→ 不和になる = 悪
こうした基準があると、ただの剌激に色をつけ、大きな波 ( 想念 ) にしてしまいます。善の部分を追求し過ぎ、悪を徹底排除しようとする傾向が強まるのです。
「貯金 = 善」と信じるあなたは、貯金ない想念におびえ、爪に火を灯す生活をして貯金を続け、「太っている= 悪」と信じるあなたは、500グラム体重が増えると自分を徹底的に責める想念にとらわれます。一時的にダイエットに成功しても必ずリバウンドがきますが、これも同じ理屈で説明できます。
「整理整頓= 善」にこだわると、子供の「雑然とした部屋」という刺激が目に入ったあなたは、落ち着きがなくなり、イライラ想念が噴出します。そして善の追求、すなわち整理整頓を始めます。あなたがこの価値観にこだわればこだわるほど、子供はますます部屋を散らかすようになります。実はそうすることで、あなたのこだわりに気付かせようとしているのです。
このこだわりは、あなたの都合以外の何ものでもありません。
何にこだわりを持っているかは、人それぞれで違います。つまり、その人によって「なかなか消えない想念」 の種類は違うのです。
逆に言えば、不快な想念や不快な現実は、あなた自身のこだわりがアンバランス (不具合 ) を生み出していることを警告しているのであり、この意味で想念は貴重なサイン ・教材といえます。