第4章 「しつこい想念を何とかしたい 」 人へ

1 見るのが苦痛な想念

 

観察がある程度進むと、雑多な想念が影を潜め、心が落ち着いてきます。

 

この段階で、あなたは以前に比べ、だいぶ冷静に物事を判断し、行動できるようになっているでしう。

 

しかし一方で、つまでも流れない想念、くり返しやってくる想念に気が付きます。

 

たいていは、見るのが苦痛で不快な想念です。「見て、流している」つもりなのに、何度もやってきます。

 

あなたにとって見るのが苦痛である想念を書き出してみて下さい。

 

すぐに出てこないなら、次のようなシーンを具体的にイメージしてみて下さい。

 

 

「人前で大恥をかく」 「試験に落ちる」 「泥棒に入られる」 「友人と不和になる」 「恋人と別れる」 「夫に愛人がいる」 「全財産を失う」 「上司に仕事のミスを叱責される」 「会社をクビになる 「子供が誘拐される」 「運転中、お年寄りをはねてしまう」 「地震で家が倒壊する」

 

この中でイメージすると辛くなる想念はありますか?

 

その「つらい」というのも想念なので見ていればいいのですが、なかなか気付きません。

 

もし、自分自身のこととして、十分あり得そうなものがあれば、前後のストーリーも付けてできるだけリアルにイメージして下さい。

 

あなたの頭の中だけの世界ですから、何の心配も要りません。怖がらないで、冷静に観察してみて下さい。

 

もし、「来月の旅行の際、仕事が入って中止になるかもしれない」という想念なら、

 

「その時はその時だ と、軽く流せますが、先程のような想念の場合、

 

 

「うっ、『恋人と別れる』想念だ、ハイハイ判った、もう十分・・・流せ流せ!」とリキが入っていることにはなかなか気付きません。

 

 

 

「旅行中止」想念だったら 「こんなもの観察するまでもない」と、くり返し味わう余裕すらあるのに、「失恋」想念が流れると突然、まるで空襲警報か火災報知器でも鳴り出したかのように緊張し、想念迎撃機や想念消防車を出動させます。

 

この時のあなたは「観察しなき!」と、鬼のような形相になり、拳を握り締めたりしています。

 

いつのまにか「想念観察 = 想念を消し去る術 となってしまっており、その背景には、「失恋想念  悪 忌まわしきもの 」という判断が働いています。

 

この判断が無くならない限り、永遠に想念とのいたちごっこが続きます。

いつまでも同じ想念が流れ続けるのです。

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