第 3章 「習慣的行為から抜けられない」人へ
5 ジ ットコースタ —人生の好きな人
皆さんのほとんどは、この想念という波のメカニズムが判っていませんので、一旦ある方向に意識が向き出すと、山か谷のどちらかばかり選択します。
おいしい金儲けの話に乗り、どんどん投資していった結果、詐欺にあう、
恋人のいいところばかり見ていた結果、結婚してみてたら最低の男だった、
などという人が、このパターンです。
つまり、山をどんどん髙くしていったツケが、どん底のような谷になって返ってくるわけです。
ジェットコースターのように、浮き沈みの激しい人生です。
「浮き沈み」という波を実感しているならまだましな方で、人によっては、山を積み上げていたことにすら気付かず、谷ばかり目につくので、
「私ってなんて不幸なのかしら」
と悲劇のヒロイン役に酔ってしまうのです。
この一方、何でもネガティブに考える人がいます。そういう想念を選択するのが好きな人です。
「私は嫌われ者だ」
「街を歩いていると猫まで避けて通る」
「周りの人が何となく自分を避けているみたい」
「何をやってもうまくいかない」
「何の価値もないクズ人間なんだ」
といった谷の想念に次々に同意し、谷底のような人生を自ら望んで歩いています。
自殺者予備軍というわけです。
時々手首を切ったりしますが、必ず死なない程度に、しかも見つけられやすいように実行します。
最終的には「死ぬのはやっぱり怖い」想念に同意しているからです。
周りの人は振り回され、いつもその人を心配し、励ましたり慰めたりすることに追われます。
その労力たるや、大変なものです。みんな必死です。
この人の場合、谷をどんどん掘り下げていき、それを周りの人にそれこそ「穴埋め」してもらい、バランスをとっているわけです。本当に世話の焼ける人です。
身近な例はいくらでもあります。
会社で同僚を出し抜いて昇進したとします。
「みんな妬んでいるに違いない」 「ミスしないかどうか注目しているんだ」 「実力もないのになんで分不相の地位に就いたのか」などと、不安想念が噴出し、次々に同意します。
その結果、人前に出るのが億劫になり、周りの人はあなたの機嫌が悪いのかと思って避けるため、あなたはますます孤立しているように感じます。
必要以上に力を込めて仕事をするため、緊張のあまりかえってミスが続出、しまいには病気になってしまいます。
それでも懲りないあなたは、仕事に穴をあけたことを後悔し、這ってでも会社に行こうとします。
同僚の何気ない一言に「怒り」の想念が流れたとします。
反対の想念(怒ってない)にスイッチできないあなたは、相手への憎しみを一方的に募らせ、同僚の買ってきたケーキを潰す、という嫌がらせに出て頂点に達します。
しかし、それがあなたへのプレゼントだったと知り、反省想念を受信して思い切り落ち込みます。
すべてはバランス良く想念を見ていなかったツケなのです。