実証実験
2025年6月1日発行号
一面に掲載されました。
ジュエリーを輝かせる技術で社会貢献
地域に根差す宝飾小売店を目指して
カカシステムJV(JV=共同企業体)
本紙コラムニストの木村亮治氏(㈱輪、代表取締役)が主幹し、宝飾品の製造技術を応用した鳥獣害対策の事業化を目指すカカシステムJV(代表:小野寺秀一)は、7月より、全国の宝飾店に向けて、取次業希望者の募集を開始する事を発表した。
野生鳥獣による農作物被害は約156億円に及び、全国で様々な対策が求められている。
カカシステムJVは、もともとジュエリー(地金製品)に施す予定で開発した特殊な研磨技術(カット)を他の用途に転用する研究を進め、このカットによって反射する光が、鳥獣害を引き起こす多くの動物達が嫌う事を発見した。その背景にはジュエリー業界の低迷によって多くのメーカーが廃業又は倒産と隣り合わせの日々を送っていることと、日本のジュエリー文化をこれまで支えてきた世界トップレベルの匠の技や技術を守りたいという目的がある。本来、このプロジェクトを進めるのであれば、JVが直接、その地域や自治体などに提案する流れとなるが、木村氏は地域に根差す宝飾小売店を通して、この事業を進めていくことを強く求めている。JVでは、これまで官民様々な実証実験を進めてきた。新宿西口広場交番裏手の鳩被害が減ってきているのは、このTCP実証実験における成果によるもので、このほか10カ所でのTCP実証実験でも成果が確認されている(以下が実験場所とその成果)。
・マンションAゴミ置き場カラス被害95%削減
・新宿西口広場交番裏手の鳩集団被害50%削減
・練馬区児童館屋上ならびゴミ置き場被害90%削減
・練馬区子供広場公園カラス被害90%削減
・練馬区斎場駐車場ヒヨドリ糞被害70%削減
・練馬区住居ベランダ、ムクドリ糞被害ほぼ100%削減
・埼玉県大宮市倉庫鳩被害80%削減
・足立区遊技場駐車場鳩糞被害50%削減
・秋田県秋田市熊被害対策協力
・米国PS社実証実験協力
以上の取り組みの中にはメディアにより報道された事案もあり、既に10社程の宝飾業界企業から問い合わせや、事業への参加についての打診が寄せられているという。そのひとつである北海道稚内市の宝飾小売店には、すでにエゾシカ対策の実証実験について木村氏より地元関係者への声掛けを打診したという。このように宝飾小売店を巻き込む理由を木村氏は「地域に根差した宝飾小売店は地元行政や公共サービス関係者と密接に関わっている企業が多い。本事業は、その利点を活かし、取次業者となる宝飾小売店が、地元の自治体や関係者に鳥獣害対策の提案を投げかけ、地元企業主導による事業化に漕ぎ着けたい」としている。
さらに、全国の宝飾小売店の現場を関わってきた木村氏だが、シンクタンクが発表しているようなジュエリー市場の回復傾向は全く感じられないと話す。「一部の高級ブランドや輸入品ならともかく、地方の宝飾小売店の店頭販売の柱は、この20年ほど展示会販売であり、その売上を支えてきた常顧客達の疲弊が最近は従業員達にまで広がり、顧客と従業員双方の感情が交錯した先行き不安な空気が現場に充満している」と話す。その結果、売上の伸びもほぼ限界となり今後の市場成長は到底計算できるものではないとしている。そんな中、地域で小売業を営む為の原点回帰は「地域との距離感を縮める事である」として、本事業は、宝飾小売店らしい理由や信念をPRしながらの地元社会への貢献手法と成り得ると判断した。
取次業者を希望しカカシステムJVから選任された事業者は、まず地元公共サービスにおける需要や現状について情報収集していく。木村氏はこのプロセスに関わり、本事業の導入についての可否を探る作業に入る。最終的には選任業者がその地域の唯一の窓口となる形で、地域の鳥獣害対策に深く関わり、地元における存在感を強める事で、本業である地元密着宝飾小売店としての存在意義を高めてもらう狙いがある。
木村氏は「私は、展示会応援で現場に立つ際、いよいよ販売のクロージングという時には必ず、お金を払うなら地元のお店に払って欲しい、地元で使ったお金は巡り巡って必ずお客様に返ってくると話すんです。お客様にも気付きを与える一言になってるんですよ。宝飾品は、その性格上、大々的に大きなマーケットにばら撒くような販売は似合わないと思うんです。その店のオーナーが長年の経験とプロフェッショナルな目で、大切な地元のために用意した本当に良い品をひとつひとつ丁寧に手売りするものだと思うんです」と説明した。
地元との関わりを深め、地元における存在感を高める取り組みが、我々の業界においてどのような前例となるのか今後も注目したい。
現時点でカカシステムJVが公表している取次業者の条件は、本社所在地以外の地域に支店が無い宝飾小売業者であり、経営者が満65歳以上の場合、企業承継の対象が明確である事が必要としている。また、創業後20年以上が経過している事も必要としている。
今後、カカシステムJVならびに取次業者募集に関しての詳細は下記のサイトで公表される。
▼カカシステム
https://r.goope.jp/kakasystem/free/start
