不具合事例の紹介

実際の屋根瓦で見られる不具合事例を紹介します。

雨漏りにつながりますので注意が必要です。

  1. 陶器瓦の凍害

現象

陶器瓦の一部分が寒さにより素地に亀裂が入ったり,剥離したりする。

(山間部など冬場の冷え込みの厳しい地域で良く見られる現象)

理由

陶器瓦の素地自体は多孔質で吸水性があり降雨,降雪(積雪)により瓦内部に浸透した水分が寒さにより凍結し体積膨張【水(液体)→氷(固体)】することにより起きる。(下図を参照ください)

fuguai1.jpg

影響

破損箇所が瓦の水返し部分の生じた場合,水返しが無くなった事により台風など強風を伴う降雨時には雨水の逆流により雨漏りが生じる。(下の写真を参照ください)

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対策

耐寒性の高い陶器瓦に葺き替える

(耐寒性の高い = 製造工程で瓦を焼き上げる温度の高い硬く締まった瓦。硬く焼き上げることで素地に出来る気孔が少ない,吸水し難い⇒ 弊方では「石州瓦」を推奨しています。)

 

2.谷板の孔開きによる雨漏り

現象 屋根瓦に陶器瓦を使用し,屋根の谷部に施工した銅製の谷板に孔が開きそこから雨漏りが生じる。
理由

はっきりとした理由はまだ解りませんが以下の様な推測ができます。【セメント瓦の屋根では銅製の谷板に孔が開くケースはほとんど無い,など弊方の経験を加味した推測です】

陶器瓦の面からのアプローチ

製造工程の中で,又は色付けに使用する釉薬の中に酸性の成分が含まれており瓦の内部または表面に付着・蓄積される。長い月日の中で繰り返し風雨にさらされ付着した成分が雨水とともに溶け出し,瓦表面を流れる雨水を酸性の強いものに変えていく。

谷板(金属)の面からのアプローチ

金属が腐食(錆びたり,溶け出したり)することとは金属が水または電解質溶液中にイオンとなって溶け出す現象。金属には腐食に対する抵抗力があるが金属の種類によってその抵抗力に差がある。(イオン化列という)

  K >  Ca >    Na >     Mg >  Al >  Zn > Cr > Fe > Co > Ni >  Mo >   Sn >Pb > (H)  > Cu >Hg >Ag >Pt >Au

カリウム カルシウム ナトリウム マグネシウム アルミニウム 亜鉛 クロム 鉄 コバルト ニッケル モリブデン  錫   鉛  (水素) 銅  水銀  銀  白金  金

←卑金属(耐食性低い)     貴金属(耐食性高い)→

 一般に銅(Cu)は鉄(Fe)より錆びにくい貴金属ですがそれでも写真のように局部的に腐食し孔が開いてしまいます。(孔食)

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解説

金属の腐食(サビ)について

金属の腐食には水分を伴う環境で起きる湿食と水分を含まない乾食とに大別されます。

湿食: 水や水溶液(酸など)中に金属が陽イオンとして溶け出す電気的化学現象

鉄(Fe)を例にして腐食の現象を簡単に説明します。

金属(鉄)が水(又は水溶液)に接する部分では鉄の原子から電子が離れ鉄イオンと電子に分かれます。

2Fe → 2Fe2+ + 4e-

鉄イオンと電子は各々不安定な状態で,何かと結びついて安定な状態になろうとします。

電子は水(H2O)と水中に溶けている酸素(O2)と結合しようとします。

O2 + 2H2O + 4e- → 4OH- (水酸化物イオン)

鉄イオンは水中に溶け出し上記の電子の結合でできた水酸化物イオンと結合しようとします。

Fe2+ + 2OH- → Fe(OH)2 (水酸化第一鉄)

これが腐食のはじまりでその後 水中に金属イオンが減ってくると金属は更に金属イオンを水中に溶出させ腐食が進行する。また水が酸性の水溶液であれば水中に水素イオン(H+)が多く含まれる,水素イオンは金属から溶け出した電子と結びついて

2H+ + 2e- → H2

金属イオンの溶出をさらに助長し腐食しやすくなる。

(貴金属である銅(Cu)でも腐食しやすくなる) 

fuguai5.jpg

対策

谷板を銅板からステンレス板に取り替える。

銅(Cu)よりも耐食性に優れているステンレス(SUS304)を使用することでより腐食しにくい条件にする。

ステンレスとは… 耐食性を向上させる為に,鉄(Fe)にニッケル(Ni)とクロム(Cr)を加えつくられた合金鋼(Stain-Less=錆無い) 

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