お知らせ

2026-05-01 14:46:00
最終章 目が覚めたら、現代だった

異世界Reboot 小説版

――勇者ではなく、行程表で老いた王国を再起動する――

はるきReboot事務所の考え方を、異世界の王国を舞台にした読み物として再構成した物語です。

最終章では、Rebootされた王国のその後と、ハルキが戻ってきた現代の世界がつながります。

最終章 目が覚めたら、現代だった

町は変わっていた。

畑には緑が戻った。草に埋もれていた旧街道は、また人が歩くようになった。空き家には灯りがつき、市場には笑い声が増えた。

若者が戻り始めた。

老人たちは相変わらず文句を言っていたが、前より少しだけ楽しそうだった。

無限エネルギー炉は、応接間の飾りではなくなった。水路へ、保存庫へ、工房へ、通信塔へ。静かに力を送っている。

この王国に、王様はいない。

この王国に、王女様もいない。

でも町は回っていた。

みんなが決めたルールで。みんなが決めた役割で。みんなで決めた未来で。

夜、宿屋には人が集まっていた。

マーサ婆さんが料理を置く。

「今日は祝いだからねぇ。食べな」

リオは笑ってハルキに声をかけた。

「次の行程表どうする?」

ガルドは橋の向こう側の開拓地の話をし、セドリック爺は通信網を整理したいと言った。リシェルは永久魔導炉の研究を、クロードは市場拡張案を、ガイアスは防衛協定を、エルナは種子保存庫を進めようと言う。

みんなが一斉に話し始めた。

うるさかった。

昨日まで静かだった町が、嘘みたいだった。

ハルキは少し笑い、窓の外を見た。夜の町には、遠くまで灯りが見えていた。

もう大丈夫だな。

そう思った。

その夜、ハルキはベッドに入った。

不思議と眠かった。目を閉じると、外から笑い声が聞こえる。風が吹き、音が少しずつ遠くなっていく。

……。

ピッ。

ピッ。

ピッ。

ハルキはゆっくり目を開けた。

白い天井。消毒液の匂い。窓の外には、車、信号、人。

病院だった。

しばらく動けなかった。

身体を起こすと、そこは病室だった。机の上に花があり、時計があり、スマホがある。

交通事故。

全部思い出した。

「夢……か?」

静かな部屋で、ハルキは窓の外を見た。車が走り、人が歩く。いつもの世界だった。

その時、机の上に小さな紙があることに気づいた。

知らない紙だった。

ゆっくり手に取る。そこには見覚えのない文字が書かれていた。

いや。

見覚えがあった。

リオの字だった。

次の行程表、作った。

今度は橋の向こう側だ。

紙の下には、小さな袋が置いてあった。開くと、中には種が一粒入っていた。

ハルキはしばらくそれを見ていた。

窓の外を見る。人、車、建物、信号。

そして小さく笑った。

「……こっちも、結構止まってるな」

窓の外で風が吹いた。

ハルキはスマホを手に取り、メモを開いた。

新しいページを作る。

そして、タイトルを書いた。

異世界Reboot。

風が吹いた。

物語は終わった。

でも本当のRebootは、まだ続いていた。


異世界Reboot 小説版 完

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

完

誰でも簡単、無料でつくれるホームページ 今すぐはじめる