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2026-05-03 14:22:00
第10章 奪い合う国々を、分かち合う国々へ

異世界Reboot 小説版

――勇者ではなく、行程表で老いた王国を再起動する――

はるきReboot事務所の考え方を、異世界の王国を舞台にした読み物として再構成した物語です。

第10章では、掃除と整理によって町が少しずつ動き出し、外の国々との関係も変わり始めます。

第10章 奪い合う国々を、分かち合う国々へ

掃除は、思ったより大騒ぎになった。

長老たちは文句を言った。何でこんな年になって草刈りなんだ。昔は若い者がやっていた。腰が痛い。暑い。

けれど三日後、町の声は変わっていた。

こっちにも道がある。空き家がまだ使える。倉庫の奥から農具が出てきた。これならまだ使える。橋の設計図みたいなものが見つかった。

町中が騒がしくなった。

ハルキは少し離れた場所で、それを見ていた。

その時、町の鐘が鳴った。

ゴォォォォォォン!!

門番が走ってくる。

「北の農業国家! グランベルの使者だ!」

町の門の前には、大きな荷車が並んでいた。その後ろには鎧を着た兵士。そして、一人の女性。

金色の髪。緑色のマント。腰には短剣。年は二十代くらいだろうか。静かにこちらを見ていた。

「私はエルナ・グランベル。グランベル王国第一王女です」

長老会がざわついた。王女様。王族。本物か。そんな声が飛び交う。

ガルドは姿勢を正した。

「ようこそ。本日は何用で」

エルナは静かに言った。

「確認です。種を買う意思はありますか?」

部屋の空気が止まった。

長老たちは顔をしかめた。百倍の値段を払えというのか。足元を見るにも程がある。ぼったくりだ。

エルナは怒らなかった。ただ、静かだった。

「そう思うなら、それでも構いません。ですが、私たちも、生きるために売っています」

彼女は続けた。

グランベルには食料と種がある。だが、お金がない。武器も足りない。最近は盗賊も増え、種と食料を狙われている。売らなければ守れない。けれど、売りすぎれば来年の畑がなくなる。

長老たちは黙った。

ハルキは窓の外を見て、少し笑った。

「何笑ってんだ?」

リオが聞く。

「やっぱり同じなんだなと思って。この国も、向こうの国も、困ってることは違うけど、足りないものがある」

その時、セドリック爺が別の紙を持って走ってきた。

「ハルキ! 大変だ! 今度は南の山岳国家から使者だ!」

門の外を見ると、今度は重武装の騎士団が来ていた。巨大な荷車には山の紋章がある。

ガルドがうめいた。

「何故だ……」

セドリック爺も首を振る。

「分からん!」

その中で、ハルキだけが静かだった。

「……始まったな」

リオが聞く。

「何が」

「王国再建じゃありません。国同士のRebootです」

風が吹いた。

遠くで、無限エネルギー炉が静かに光っていた。まるで何かが動き出したみたいに。


次回予告

第11章「王ではなく、合意したルールで回る世界」へ続きます。

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