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2026-05-08 13:55:00
第5章 長老会の応接間に、最強装備が飾られていた

異世界Reboot 小説版

――勇者ではなく、行程表で老いた王国を再起動する――

はるきReboot事務所の考え方を、異世界の王国を舞台にした読み物として再構成した物語です。

第5章では、町に「本当はあるのに使われていない力」が見えてきます。

第5章 長老会の応接間に、最強装備が飾られていた

「討伐できる人がいない?」

ハルキが聞き返すと、息を切らした男は何度もうなずいた。

森の開拓地に魔物が出た。畑の近くで、放っておくと作物もやられるという。

リオは斧を持ち上げた。

「くそっ……行くしかないな」

だが、男は困った顔をした。ギルドの武器庫には、もうまともな物が残っていない。革鎧はぼろぼろで、弓も壊れている。

リオは顔をしかめた。

「またかよ……」

「武器がないんですか?」

ハルキが尋ねると、リオは言いにくそうに答えた。

「少ない。いや、あるにはある。でも……来い」

二人は長老会の建物へ戻った。

重い扉を開け、中に入った瞬間、ハルキは足を止めた。

広い応接間だった。赤い絨毯。巨大な机。壁には古い絵画。そして、壁一面に武器が飾られていた。

大剣。槍。弓。鎧。盾。見たこともない魔導具。

中央には、青白く光る巨大な結晶があった。静かに、ゆっくりと光っている。

「……何これ」

「長老会の応接間。王国の宝らしい。昔の英雄が使った装備。大事な物だからって」

「使ってないんですか?」

「使わない。失ったら困るから。壊れたら困るから。そう言ってる」

ハルキは壁を見上げた。どの武器も綺麗だった。綺麗すぎた。傷がない。汚れがない。現場で使われた形跡がない。

後ろから声がした。

「触るな」

ガルドだった。杖をつきながら、ゆっくり歩いてくる。

「王国の宝だ。代々守られてきたものだ。簡単に持ち出していい物ではない」

「でも現場は?」

ハルキが聞いた。

「森には魔物が出てるんですよね。若い人も少ない。装備も足りない」

ガルドは壁を見た。

「だから守っている。失えば終わりだ。これだけは残さなければならん。王国の誇りだからな」

数秒、沈黙が落ちた。

ハルキは中央の巨大な結晶を見た。青白く、静かに光っている。

「この町は、力が無いんじゃない」

全員がハルキを見る。

「力の置き場所を間違えてます」

空気が止まった。

ハルキは壁の武器を見た。

「飾るための剣なら、町は守れません。使われない道具は、ただの飾りです」

そして中央の結晶を指差した。

「それで、あれは何ですか?」

長老の一人が答えた。

「灯りだ。昔からある魔導灯だ。応接間が暗くならんようにするものだ。便利だぞ」

ハルキは、しばらく黙っていた。

結晶は部屋全体を照らしていた。暖かい空気。動いている魔導時計。隅で動く古い魔導具。すべてが、この結晶につながっている。

「……これだけ?」

誰も答えなかった。

その時、部屋の隅で書類を読んでいたセドリック爺が急に顔を上げた。眼鏡がずれ落ちるほど慌てている。

「待て……待て待て待て待て……」

セドリック爺の手は震えていた。

「そんな……そんなはずは……」

「どうしたんですか?」

ハルキが尋ねると、セドリック爺は青ざめた顔で結晶を指した。

「それ……ただの灯りじゃないぞ……」


次回予告

第6章「無限エネルギーは、空腹を満たさない」へ続きます。

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