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成績が悪い子がそうなる原因についての一考察3

◆ 授業の時間が、単に「終わるのを耐える時間」になってしまている子

 

中学生や高校生が主人公の恋愛ドラマで、授業中に主人公が考えごとをしているシーンがありますよね。先生の声がただのBGMになり、名前を呼ばれてやっと我に返る・・・あれです。

現実の塾でも、たまにそんな状態になることはあるかも知れませんが、それが「その時だけ」「その日だけ」ならまだいいのです。

 

いちばん厄介なのは、その子にとって「授業」というのが「先生の声をBGMにしながら(眠かったら寝て)とにかく終わるまでを耐える時間」と確立されてしまっている生徒です。

このタイプの子はどんなに分かり易く説明しても、その説明を聞いていないのですから、それは塾に来ていないのと同じであり、成績を上げるのは非常に困難ですし、大手塾ほどそんな子は「居ないもの」として蚊帳の外に置かれたまま授業を進められます。

 

このような子の成績を上げるために、私はまずその意識を改善することから始めます。

が、何せ「性格」を変えるようなものですから、本格的に学ぶことができる状態にまで成長させるまでに少なくとも半年から1年以上はかかってしまいますし、残念ながら、あれこれ尽くしても(特に授業中に寝る傾向がある子は)結局成果が出ないこともあるかも知れません。

  

ちなみに以前紹介した当時中1だった子はもうすぐ高校受験を迎えますが、設問に対して「こういう場合は確かこんな式を立てるんだったっけ?」という曖昧な「記憶頼り」の考え方から、「こう訊かれているんだから、要するにこれとこれを足したやつを求めろっていうことだよな」と自分で論理的に考える方向へと変わり、本当に頼もしく成長してくれました。本人は気付いてないかも知れませんが。(^_^

 

◆ ここ10年で最も増えた「もう一つの原因」

 

そして、ここ最近になって改めて「やっぱりそうだな」と感じている、もう一つの小中学生の深刻な傾向があります。

一度できるようになった内容を、数日も経つときれいさっぱり忘れてしまう子の増加です。

この10年でこの症状の生徒が本当に増えました。もう昨今の成績が悪い子のいちばんの原因はこれだと断言してもいいくらいです。

 

塾ですから、難しい内容でも最終的に生徒自身の力でできるように仕上げます(もちろん経験上それすらやらない塾は山ほどあります)。

しかし翌週になると、それを完全に忘れてしまい、先週できた問題がまた解けなくなる。現実にこういう子が非常に多いのです。

1週間で忘れるなら、数カ月後の定期テストや1〜2年後の入試まで覚えていられるはずがありません。

 

昨年、中1からずっと通っていた中3の生徒に、「これまで学習したすべてが範囲」というテストを解いてもらったところ、2年半かけて叩き込んだはずの内容がほぼすべて記憶に残っていないことが分かり、愕然としました。

 

数年前、「翌朝になるとそれまで数年の記憶を失う看護師」が主人公のドラマがありました。その主人公は毎晩寝る前に、翌日の自分のために今日までに起こったことを事細かくノートに記していましたが、決してそれが大げさな例えではなく、「翌日以降の自分のために詳細なメモが必要な子」が増えていると感じます。

 

◆ なぜ現代の子どもは「忘れやすく」なったのか?

 

2人以上で行なう「暗記ゲーム」があります。例えば3人で行なうとします。

最初にAさんが何か思いついた色を一つ言います。例えば「赤」と。

2番目のBさんは、Aさんが言った色のあとに自分が思いついた色を一つ付け足して言います。「赤、青」と。

3番目のCさんも同様に、AさんBさんが言った色のあとに自分が思いついた色を付け足して言います。「赤、青、白」と。

順番が最初に戻ってAさん「赤、青、白、緑」

Bさん「赤、青、白、緑、オレンジ」

Cさん「赤、青、白、緑、オレンジ、紫」

Aさん「赤、青、白、緑、オレンジ、紫、ピンク」

Bさん「赤、青、白、緑、オレンジ、紫、ピンク、黒」

Cさん「赤、青、白、緑、オレンジ、紫、ピンク、黒、黄色」

Aさん「赤、青、白、緑、オレンジ、紫、ピンク、黒、黄色、茶色」

・・・・・・誰かが間違えたら終了というゲームです。

このメンバーのうち一人でも、一週間後に「赤、青、白、緑、オレンジ、紫、ピンク、黒、黄色、茶色」という順序を覚えているでしょうか。誰ひとり覚えていないでしょう。何故ならこの記憶は、このゲームの間だけしか覚える必要がない「一時的に覚えればいい記憶」だからです。

 

そして今の小中学生の多くは、学校の学習内容でさえ、この「一時記憶」と同じ扱いになっているように思えるのです。

三角形の面積の求め方が「底辺×高さ÷2」であることも、平均の求め方が「全部の合計÷足した個数」であることも

前にも説明した目の前の問題を解き終えることが目的となっている子はなおさら、解き終えたら目的は達成したので記憶から消してしまうのでしょう。

 

ではなぜ、ここ10年でそのような子が急増したのでしょう?

 

原因として思い当たるのは「スマホを通じて受け取る不要な情報量の多さ」です。

真偽は不明ですが、現代人が1日に受け取る情報量は、江戸時代の1年分、平安時代の一生分に相当するという説があります。

「その瞬間の驚きや感動のためだけ」の情報が増えすぎているため、「記憶する必要がない情報」に脳が慣れきってしまっているのかも知れません。

 もちろんこれは推測ですが、20年前・10年前の子どもと比べて、生活習慣で大きく変わった点というと、結局スマホぐらいなのです。

 

◆ every志免南里での対策

 

こうした問題は以前から少なからず感じていたため、当塾ではずっと対策を行っています。

 

毎回、授業終了後に「トライアル」と呼ぶ10分程度のテストを実施しています。

家庭学習による暗記作業が絶対に必要な英語・社会は、前の週に指定した単語や語句の暗記テストを、数学・理科は前の週の授業で学習した(できるようになった)内容の記憶の定着度を計るテストです。忘れてしまっている生徒は毎回いますが、それで2度目の説明をすればより記憶に残るだろうという作戦です。

 

とはいえ、最も大きな根本解決は「意識の改革」です。

学生が社会に出て初めて責任を実感したときに成長するように、「学習内容を保持することへの自覚」を持つことが必要です。

 

しかし、週に数時間しか接しない塾教師にはそれが何より難しく、何をどう伝えれば「このままじゃいけない」と実感してくれるのか、日々試行錯誤しています。

2026.10.23 Friday