お知らせ 学長の本棚
2025/10/12
スーツケース
ある日、
見慣れない動物がやってきた。
ひきづっているのは、大きなスーツケースたったひとつ。
みんなは、その大きなスーツケースの中身が気になってしかたありません。
長旅で疲れた見慣れない動物が眠っているあいだに、みんなはスーツケースをこじあけてしまいます。
そこで、みんなが見たスーツケースの中身とは‥‥‥。
これはスーツケースを開けたその中身もだけれど、開けたあとに何が起こったのか、
そこが、みどころ!
新しい旅立ちの春に出会えて良かったと思える本。
どの動物の立場も分かるように読めたらいいなと思う。
いま生きているときに出会える人数って、
すごく少ない。
すきな人ばかりではないけれど、
優しい人ばかりではないけれど、
そうじゃない人がいたりするから、大事な人と出会えたことを有り難く思う。
去年亡くなった叔父に、
「いじわるな人や悪い言葉に出会ったら、
人を傷つけてしまうことを教えてくれてありがとーう!って、感謝したらいいさ。
‥できれば大声でね。」
と、笑って言われたことがある。
そのことをふと思い出した。
本の良さってこういうことだと、
私は思っている。
本の物語そのものに加えて、
よみがえる記憶の断片がある。
いつもは思い出さないのに、
本のなかで突然現れる。
そうだ。
私の思い出のスーツケースは、
家族や友達や仲間や、
これまで出会った人たちみんなに、たくさんつめてもらってきたから、溢れてくるほどいっぱいなんだな。
なんて、しあわせなんだろう。
みんなも同じじゃないかな。
『スーツケース』
クリス・ネイラー・バレステロス作 くぼ みよこ訳