欅(けやき)通信

相模が丘のカフェ・ド・チャチャのシンボルマークとなっている欅の木は、3年前に亡くなった父が植えたものです。戦後の混乱期、郷里島根の両親から、高等乞食(慈善事業)になるのかと、勘当されてまで、戦災孤児のため父は福祉の世界に入り、生涯歩み通しました。父と同じ思いで結ばれた母。その二人がこの座間の地に、私設の子ども相談所を開きたいと願い、そのシンボルとして植えたか細い苗木も、今ではご近所に少々ご迷惑をかけるほどの大木となってしまいした。


 しかし、春夏秋冬、少しずつその姿を変えながら周囲の人々を、集め、憩わせ、和ませる欅の木に、父の願いを感じずにはいられません。


 福祉一筋の両親は私に一度たりとも同じ道を求めたことはありませんでしたが、気が付いてみれば、私ばかりでなく、妹もそして娘までもその現場に携わることになっていました。


 今回のチャレンジは、父が92歳で天に召されてから初めての経験となりますが、今まで以上に、「光の当たらないところに光を、そしてこの人たちこそが光となるように」という父の思いが強く迫ってきます。これまでの8年間の議員活動を振り返って、福祉の現場と行政をつなぐパイプとしての役割の重要性を痛感しております。近年、子ども、障がい者、高齢者への政策は、目まぐるしく変化しています。国の定めた法律、制度を、市のレベルで、地域の特性・実情に合った、血の通ったものとなるよう、提案して実現させてゆくという福祉行政へのアプローチを続けていることで、「福祉の安海」と言って頂くのは、過分のことと恐縮しておりましたが、これからは、自らにその言葉を課して、更に努めて行きたいとの決意でございます。


 日々、父の欅の木を見上げなら、その思いを新たに、市政に取り組んでゆきたいと思います。