薬が効く症状、効かない症状

精神に働きかける薬を「向精神薬」といいます。これには(以下の文中にあるような)いくつかの種類があり、それぞれが良い効果を発揮する目的症状があります。なおこのページの情報は予告なく改訂することがあります。

 

<向精神薬が効く症状>

  • うつ症状:落ち込む気持ち、意欲の低下などのうつ症状には、抗うつ薬が有効です
  • 不安や恐怖心、緊張:抗不安薬が有効です。ただしこれは、根本的な治療薬というよりも、その場の不調を無くしてくれるという役割です。また、効き目の自覚がだんだん弱くなることがあります。激烈な不安や恐怖心、緊張には抗精神病薬や情動改善薬が有効です
  • 不眠:睡眠薬、睡眠導入薬といわれる薬が有効です。ときに、効果がだんだん弱くなることがあります
  • 興奮、焦燥感、強いイライラ:抗精神病薬や情動改善薬が有効です
  • 躁状態:不必要に幸せな気持ちが膨らみすぎる(多幸感)とか、気持ちの高ぶりを抑えきれずに、他者に攻撃的な関わりをしたり金銭を著しく浪費したりするといった躁状態には、抗躁薬、抗精神病薬、情動改善薬が有効です
  • 幻聴や妄想:誰もいないのに人の声が聞こえてくるという幻聴や、事実ではないことを事実であると強く確信する妄想(「自分はスパイに狙われている」など)には抗精神病薬が有効です
  • 注意力の欠如、落ち着きなく動き回る(多動):発達障害とよばれるこうした状態に効果を発揮するといわれる薬が開発され、実際に診療に使われるようになりました

 

<向精神薬がなかなか効きにくい症状>

  • 記憶力や計算力などの低下:認知症などで、物覚えが良くないとか、物事をうまく思い出せない、計算をできなくなった、などといった状態に対して、抗認知症薬といわれる薬が用いられることがありますが、このような状態の進行をある程度、遅らせることができることがあるものの、完全に元どおりに治してくれるほどの効果は期待できないといえます
  • 統合失調症でみられる意欲の低下や、注意力・思考力などの低下:一部の抗精神病薬がこれらの状態の改善に役立つのではないかといわれていますが、確実ではないと思われます