薬以外の治療とは?

 そもそも精神の症状がなぜ起きるのかということについて、脳の仕組み・働きにおける原因の究明はじゅうぶんではありません。つまり、向精神薬は、症状が起きる原因そのものを治してくれているとは限らないのです。よって、薬以外の治療も大切です。薬以外の治療の一部について、以下をお読みください。

 

<自分を知る>

 自分の考え方や行動の特徴を知ることは大切です。たとえば、「なにごとにも悲観的な考え方をしてしまう」とか、「行きたくない会合でも、誘われると断れない」などの場合には、余計に自分の気持ちが暗くなったり、疲れてしまったりします。このような自分を自分で損ねてしまっている特徴について、冷静に振り返ることは、その後の工夫に向けての材料になります。

<考え方の工夫をする>

 自分の考え方の工夫をすることで、気持ちが楽になったり、その後がより前向きに物事に取り組めるようになったりします。たとえば、「テストで悪い点数をとってしまった自分は出来が悪い」と考えるよりも、「これも一つの現実。そして今回をうまく反省して、勉強の仕方を工夫すれば、次回はもっと良い点数をとれるだろう」と考えるほうが、自分にとっては大切なのです。

 

<行動の工夫をする>

 私たちの日々の行動には改善の余地がある場合が少なくありません。たとえば夜更かしをすることで、次の日の活動がうまくいかなくなったり、仕事のやり方にムダがあるために、いつまでたっても仕事が終わらないとか、良い結果を得られないとかなどです。これらのような場合に行動の工夫をすると、日々の生活が豊かになり、より自分らしい生活を獲得できます。たとえば、夜はぬるめのお風呂にゆっくりとつかり、スマホやパソコンは見ないで、自分の趣味に関する本を少し読んで床に入ると、思いのほか睡眠が良くなったとか、週に一度は残業をしないと決意して、その日は自分の作業のスピードや集中をより高めるように心がけたら、実際に残業をしなくても仕事が終わった、などです。

 

<良い支援を得る>

 自分の不調を家族や職場・学校に伝えることには勇気が必要ですし、伝えることによってかえって、周囲から(一時期は)理解をされていない辛さを自覚することもあります。しかし、精神の不調を自分だけで抱え込むよりも、周りの理解や応援を得るほうが望ましいといえるでしょう。家族や職場・学校の健康管理部署などに、自分から、または主治医から、不調について説明をしても良いでしょう。就労や就学をできていない場合などには、地域の行政(保健所や福祉事務所、高齢者対応部署など)や、同じく地域の医療・福祉機関、社会福祉協議会などの多くの専門家が、金銭や入所・通所・訪問のサービスについて、情報を教えてくれたり、これらを設定してくれたりします。