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◆先生、ちょっとおたずねします。
(初代宗家 菊井松音 聞き書き)
◇楽譜のお稽古に付いてお話してください。
便利になって皆さん上手になりましたね、箏を弾く人がふえたのは楽譜のおかげでしょうね、
昔のことを思えば楽譜はあるし、レコードやテープや演奏会を聞いて、自分で一生懸命に
勉強するから上手になります。
でも私は音と音でお話が出来ないのが残念です。私が斗の糸をひいているのに七や八を
ひいてみたりして、なかなか音が取られない人が多いので困ります。三絃でも同じです。
旋律や音が早く取れる様になってほしいです。暗譜の方が音はたしかですね。放送局の人が
「地歌の人はなぜ楽譜見て演奏するのですか。他の三味線の人は楽譜を見ないのに・・・」と
云われました。其の時残念に思いました。 箏楽社の人も暗譜で演奏してほしいと思います。
昔の人は楽譜をよむのが下手ですが、暗譜が上手です。丁度まぜ合わせればよいですね。
◇色々のこと。
この頃よく古典がこのまれる様になりました。一時は不協和音を使って作曲されていましたが、
日本人が伝統ある箏で何百年も前に作った曲を今に伝えて演奏することは素晴らしい事ですね。
しかし古典を弾けば聞いていて、ねてしまう人があります。
新曲と古典の中間の様なのが多数あればよいのですが、旋律、歌がわかりやすく出来ているのが
喜ばれるでしょう。
昔は箏をひくのに真中でひきましたが、今は龍角の方に寄ってひきます。どんな曲でも
説明をよくしてあげれば初歩の人でも理解が早いですね。三絃はかたちをよく見てあげて
ください。棹が高からず低からず、天神の所が耳の高さがよいと思います。胴はひざから
七、三、におきます。
バチの持ち方、当て方、左の指は爪と身でおさえる様に等々いろいろ研究してよい音を
出して下さい。