インフォメーション
2018-03-18 18:12:00
◆先生、ちょっとおたずねします。
(初代宗家 菊井松音 聞き書き)
◇戦争中のお話をしてください。
其の頃は戦争は激しくなるばかりで、お弟子さんは少なくなるし、これからはお箏を弾けるか
どうかも分からないし、その時に弾く気持ちがなかったら、そのままになっていたでしょうね。
よく勉強をしておいたことだと思います。
でも大切な時間ですから、ピアノを弾いて作曲などしました。
今演奏している、ト短調協奏曲、ハ長調協奏曲、巣立つ小鳩等はその頃作曲したものです。
又、先生に教えてもらった歌を菊富先生におさらいしてもらったり、忘れた曲をさらえて
もらったりしました。
菊富先生は大阪の大空襲に会われて家はもちろん楽器も爪も全部焼かれてしまわれて、
私の家にしばらくおられましたが、奈良のお弟子さんでお初さんと云う方のところに
行かれました。
長い間してお兄さんと言う方から死亡の通知をもらいました。気の毒しました。
戦争中は歩け歩けの時代で遠い東野と云う所まで、野菜を作りに行きました。
畑仕事をしながら春にはひばりの声を聞いたり、秋になると色々な虫の音を
楽しんだりもしました。畑に行く途中にある緑ヶ丘公園の松を渡る風の音に耳を傾けたりして
不自由な生活の中にも楽しみを見出しておりました。