リネンになるまで

1 リネンの原料 2 リネンになるまで 3 リネンの特徴 4 リネンランジェリー

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リ ネ ン に な る ま で

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フラックスは3月から4月に種を蒔き、6月の末から7月の初めに半日だけ青紫の可憐な花をつけます。7月の中頃に根元から抜き取り、畑に約1か月間寝かせ、雨露で表皮を腐らせて繊維を取り出しやすくします。(この工程をデューレッティングといいます)自然の力を多いに利用する工程です。収穫後は6年間休耕させ、土の中の栄養分やフラックスの細かい根が腐るまで待ちます。これもとても大切な作業の1つです。

 

この後スカッチングと呼ばれる繊維を取り出す工程に入ります。フラックスを叩いたりのしたりして、不要な固い皮などを取り除く作業です。ここでフラックスからリネンに変わります。

 

次に、櫛のようなものでリネンを梳いて、長い繊維と落ち綿に分けていきます(これをハックリングといいます)。梳かすことで、ドビュッシーの曲名にもなった美しい「亜麻色」が出現します。また落ち綿は何年も使ったサンプルの様にとても柔らかい触り心地です。後にウールなどと混ぜて混紡糸になるため無駄にはなりません。

 

そして、ドローイング(鉄と木のロールで挟んで鞣す工程)で、リネンに艶を出します。同時にペクチンも潰されて繊維として扱いやすくなります。ここで一度、仮撚り(ロービング)することで、次の紡績で糸がほぐれることなくスムーズに進みます。

 

最後に、スピニング(紡績)の工程です。リネンを糸にする工程で最も大きな特徴は、水でぬらして紡績(潤紡:ウェットスピニング)をしなければならないことです。リネンをつなぎ合わせているペクチンをコントロールして、ゆっくり丁寧に糸にしていきます。潤紡をするのはリネンだけで、とても希少性の高い工場で作られます。

 

ウールやコットンは、濡れたままだとカビが生えたり腐ったりしますが、リネンはもともと植物の茎であるために水分を含むと強度が増すという不思議な繊維なのです。 そして、水に強いからこそ、昔から麻が船の帆やロープに使われてきた歴史があります。