外反母趾とは足の親指(母趾)が指の付け根の関節(MP関節)から小指側に曲がる(外反する)変形のことです。
変形は外反だけではなくねじれも加わりますが(母趾の爪が正面ではなく内側を向く内旋という変形)、目立つ変形が外反であるため、病名としては外反母趾と言われます。日本では洋式の靴を履くような生活が中心になってから発生頻度が増加しており、性別では女性が患者のほぼ9割を占めると言われています。変形が強いケースでは、母趾の付け根の内側部分が腫れて痛みが起こり(この状態をバニオンといいます)、足の裏の指の付け根の部位(母趾ではなく2番や3番目の指)には痛みを伴うタコ(胼胝 = べんち)ができ、母趾がとなりの指(示趾)の下に潜り込んで重なり、靴を履くことが難しくなります。
原因として、生まれつき母趾が示趾よりも長い足(エジプト足)や開張足(幅が広い足)といった形の問題や、足の筋肉や靭帯が弱化して足の骨の配列が変化することや、ハイヒールを履くことで加わる足の負担などがあげられますが、単独の要因だけではなく、これらが組み合わさって起こると考えられます。また、リウマチや神経麻痺の結果として外反母趾が起こる場合もあります。
【診断】 特徴的な足の変形と、X線検査で容易に診断されます。X線ではMP関節を中心に母趾が外側に曲がり、右足ではひらがなの「く」の字のように変形します。
ただし、外反母趾があっても症状がないものは単に「外反母趾変形」があるというだけで、治療対象にはなりません。痛みや靴のトラブルなどの症状があってはじめて外反母趾は治療が必要となります。
【症状】 体重をかけた時の母趾の付け根の痛み、痛みを伴う母趾内側の腫れ(バニオン)の形成、痛みを伴う足裏のタコ(胼胝 = べんち)の形成、母趾の変形に伴って第2・3趾(示趾・中趾)が曲がる変形(それに伴う痛み)や扁平足・開張足などが重なって足が靴に収まりにくくなるなどの症状が起こります。