再脱臼が起こった場合は、保存的治療をくり返してもその後の再脱臼を回避することは困難になります。膝蓋骨脱臼をくり返して、スポーツや日常生活動作中に強い不快感や不安定感が続く場合には、手術による治療を考慮します。手術は、膝蓋骨を正しい位置に保持する構造物の中で最も重要なものと言われている内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)の機能を回復させるために、その靭帯を作り直すことが最も一般的ですが、それぞれの膝の状態に応じて各種の手術方法を選択または組み合わせて行います。
適切な手術方法で治療した場合、良好な治療成績が得られます。
元々膝蓋骨が脱臼しやすい身体的条件を持っている人の場合には、再脱臼をしなくても再脱臼予防の目的で手術が検討されることがありますが、手術を行うべきか否かは慎重に判断する必要があります。
内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)を作り直す手術治療における当科の標準的なプログラムでは、手術後1週より手術側の足に体重をかけて歩行を開始して、手術後2週間前後で退院可能となります。
膝蓋骨脱臼をくり返すことによって、軟骨の損傷などの二次的な問題が起こる割合が高くなります。脱臼の予防、手術療法のいずれも重要で、慎重な判断が求められます。まずは、専門医にご相談ください。