【初期の治療】
脱臼が起こった場合、多くの場合膝蓋骨は病院に来る前に元の位置に戻ります(戻らなければ病院で戻します)。脱臼に伴って半数程度の患者で軟骨や骨の損傷が起こると言われますが、その程度によっては早期に手術が必要になることもあります。早期の手術が必要ない場合は、まず膝を装具(サポーター)などで固定します。痛みや関節の腫れが収まってきたら徐々に体重をかけて歩き、膝を動かすようにします。
【再脱臼の予防】
膝蓋骨の脱臼が起こった患者の 20-50% に再脱臼が起こると言われています。また、再脱臼をしなくても、半数以上の患者で痛みや膝の不安定感などの症状が残ります。再脱臼を予防するための治療として、リハビリや運動用の装具による治療を行います。リハビリは、膝蓋骨が外側にずれるのを防ぐように膝蓋骨の内側につく筋肉を筋力トレーニングや電気刺激によって強化する方法、膝蓋骨を外側に引き寄せる筋肉や靭帯をストレッチして柔軟性を高める方法、脱臼を誘発するような姿勢や動作を回避するような運動パターンを練習する方法などを行います。運動用の装具は、膝蓋骨が外側にずれるのを防ぐ構造物のついたものを使用します。装具は脱臼して早い時期には日常生活で使用し、その後も一定期間はスポーツなどの機会に使用します。