年齢とともに軟骨や半月板を中心とした膝関節内の構造物が徐々に劣化・損傷し、痛み、腫れ、変形などを生じるのが変形性膝関節症です。高齢になると程度の差はあってもほとんどの人の膝は変形性膝関節症になります。
日本人では膝関節の内側を中心に損傷(軟骨のすり減り)が進み、O脚(内反膝)になるものが多数を占めます。
損傷が進み歩行が困難になるような場合は手術が検討されますが、最終的手段は人工関節置換術です。これは損傷した関節表面の軟骨と骨を削り取って金属で覆い、軟骨の代用としてプラスチックを使用するものです。手術によって痛みは改善しますが、膝の屈曲角度には限界があり、手術後にしゃがむことや正座をすることは一般的には困難です。また人工関節の早期破損を防ぐために重労働や、関節の負担の大きなスポーツは避けなければなりません。
年齢の若い人や、スポーツを続けたい人、今後も現役で労働をしなくてはならない人にとって人工関節置換術は、行動の制限が付くため選択しづらい治療でもあります。
主に膝関節の内側が損傷して症状の強い患者さんには、自分の関節を温存しつつ、損傷の少ない関節の外側で体重を支えるように骨の角度を変える膝関節周囲骨切り術、中でも一般的な脛骨骨切り術が有効な治療法となります。