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2010 / 11 / 20  

風のブレンド。焙煎の話。

芳賀町のmikumariさんで、当店で焙煎ブレンドした『風のブレンド』がドリンクメニューのラインナップに加わりました。

書斎風のgalerie fu-shu(ギャルリ フウシュ)。

日本語にすると「ギャラリー風趣」ですね。

そこで、風を冠したコーヒーということで深煎のものというオーダーでした。

焙煎には直火式焙煎機を使用していますが、実は直火式は焙煎が難しい機械です。

釜の中で回転するドラムがパンチングメッシュのため(熱風半熱風に比べると)、時間や火力で豆の表面が焦げたり煙を被りやすいのです。
半熱風や熱風は直火に比べると、豆も膨らみやすく、そこそこの味に仕上がるため、今では新しく焙煎を始める人のほとんどがコチラを使用します。

その難しい直火で長時間焙煎や深煎を行うのは、本当にリスクを背負った行為なのですが、へそ曲がりと前人未踏の技術(?)を身につける目的もあって、直火式を使用しています。


業務用焙煎機で8年ほどローストしていますが、いまも、フレンチ以上の深煎にするのは勇気が要ります。
風のブレンドは深煎指定でしたのでマンデリンベースに決まった時点で味の方向性は安心していましたが、問題はロースト感でした。
今後あるいはもうちょっと焙煎度をあげて「焦げ」感を強くするかもしれませんが、そのあたりは微調整ということで完成しました。
いや、本当は「もっと深煎に!」という高橋さんのリクエストが欲しいだけだったりして…(冗談です!)

自分は焙煎なんか悩んでないよ、というロースターは世に大勢います。
迷いがないのはそのほうがいいと自分はうらやましく思います。

自分の行っている焙煎は、
・酸味の度合いを変えられる
・味の強弱を変えられる
・ロースト感の強弱を変えられる
・それらの掛け算なので9通りかけるそれぞれの度合い

という9の倍数ずつ味作りをコントロールできる焙煎ですが、
直火式焙煎機を使用しているということと、
長時間焙煎をしているということで、
変化させることができる要因が多いため、
最終的な味の調整の段で、どこのプロセスに求めるかという要素が多すぎて
かなり面倒で難しいものになっています。

大型の機械で、熱風式で短時間で焼くのが一番シンプルだというのはわかっているのですが…

それでは「雑味」「えぐみ」がかなりの率で残ってしまうのではないかと考えています。

それでも、個性的な味を最大限強く味わいたい、というコーヒー屋さんは短時間を選択するし、それはいまのスペシャルティコーヒーを扱うロースターなら当たり前なんです。(要するに自分が天邪鬼なのです)

カップの最後の頃の液体が喉を通る頃に、
途中の火力が強すぎたことでおこる苦味や
液体が冷めたときに目立つ雑味を感じると、許せない飲み手としての消費者(自分)がいたから、
いまのような味作りをしています。

…という話を書いてしまいましたが、どういった味の方向性を選ぶかはそのロースター次第ですし、どれがいちばんいいとも言えません。
自分はそういう味作り故に、人一倍苦悩が多いというだけのことです。

悩むのが好きなんです、きっと。

ですが、コーヒー豆をお買い上げいただいたお客様には是非以下のことをお伝えしたいです。

薄い と感じるのでしたら粉の量を増やしてください。
味は濃くなりますが、雑味はでません。
香りが弱いな と感じたら、香りが強いという珈琲の味に弱点はありませんか?
しっかりドリップするとなんだかおいしくない強い味の要素がして、「濃すぎて雑味が出ちゃった(笑)」なんて言ったりしていませんか?
それは雑味が多い焙煎方法で、俗に言う「抽出に技術がいる珈琲豆」なのです。
当店の焙煎方法による珈琲は、ハンドドリップでなくても家庭用珈琲メーカーでおいしくおとせる珈琲豆ですので、ハンドドリップの方法なんて面倒だというかたにもお薦めの珈琲豆です。


…話が脱線してしまいましたが、「風のブレンド」は、深煎で寒い冬にはぴったりのスイーツに合う珈琲です。
家庭用のコーヒーメーカーでも美味しく飲んでいただける珈琲豆ですので、
コーヒー器具にもこだわっていない、コーヒーマニアでもない、でも、
美味しいコーヒーが飲みたいという方には、mikumariさんでお食事のお帰りの際に、お買い求めいただければ、と思います。