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2013 / 03 / 28  

メッセージ① 幻のあの味を求めて。ホットケーキ篇。

幻のあの味を求めて

ホットケーキ篇

今回は趣向を変えて、
お店でおだしているホットケーキが、どうして現在のような味にたどり着いたのか、書いてみようと思います。

なぜ、パンケーキではないのか?

そもそも、パンケーキとホットケーキに明確な区分はありません。
いまは流行りのようにパンケーキがあちこちのお店で出されているようです。
メレンゲを使った生地で、
リコッタチーズをいれるタイプが主流です。

先週先々週、当店でもホットケーキの生地の見直しをしていました。
実は毎日違う生地のものをお出ししていました。
メレンゲタイプでふんわりさせたり、
サクッと食感が感じられるようにしたり、
しっとりさせたり、
軽くさせたり、
それらの組み合わせです。

そして、月曜日に都内にいろいろ確認の意味もあり、表参道から渋谷あたりでパンケーキを食べました。

リコッタチーズをいれるタイプがでスフレ生地のものは、逆に違いをつくるのが難しく、どこでも食べられるという印象でした。
ふっくらしたホットケーキは火の加減が難しく、型に入れてシフォンケーキの様に焼いている方法をとっているところもありました。

そんな流行りを体感しながら、自分たちが考えたのは、やっぱり記憶のなかのホットケーキでした。

誰の家でも作れたホットケーキは、懐かしい母親の手作りのお菓子として記憶を持っているものです。

生地に甘味があって、バターが乗っていて、冬なら湯気も立っています。

その記憶を壊さない、そして今の流行りの味覚に負けないホットケーキ。

ふんわりして、バニラが香って、
生地は卵が感じられるもの。

ふんわりして、さっくりとした別の食感もあるもの。

バターと蜂蜜の甘さで本当に美味しく感じられる程度の生地の甘味。

結局は銅板の表面の温度と、それをどんな風に変えて行くか?という焼き手の操作で変わってしまいます。
マニュアルやレシピはあっても、その日の温度で立ち上がりも変わるので、経験値ということになります。

こういうあたりがセントラルキッチン方式のチェーン店とは違ってしまうところです。

ドラマの「ディナー」、毎回録画して面白く見ていました。
主演の江口さん演じる天才シェフの台詞があります。
料理は素材×調理法だ!
…というものです。

本当は、
味=人間(素材×調理法)
だと思います。

人にお出しする資格のない人間が
素材とレシピで騒いでも人を感動させるものには決してなりません。
禅宗では料理を行う典座は修行の進んだお坊さんが行います。

だから、いつも心してホットケーキもコーヒーの焙煎を行う時も、火を入れています。

平常心、難しいですね!

心ばかり波立って…(T_T(T_T)

そんな風に考えてホットケーキを焼いています。

旅に疲れた旅人が、
子供の頃に食べた家庭のホットケーキを思いだしながら。
ほんのひととき、ノスタルジックに浸ってもいいんじゃないかなぁ。
何時でもない、昔でもない、
無時間のなかで暖かい思いに包まれていた頃を想起して…

ちょっと小言になってしまいますが、
マニュアルやレシピで形だけは立派なお店を見るともったいないなあといつも思います。大切なのはブランド名やかたちではないとずっと思っています。
人と、その人の向き合いかただけです。

情報や情報操作で、お店の偽の先入観を作る人たちもいるみたいで、本当に困ったものです。

ドラマを見ながら、
素材×調理法…と、人そのものが大切なんだ、といつも突っ込んでました。

このメッセージが届くひとがたくさんいると嬉しいんですが。

暖かいホットケーキになるようにこれからも頑張ります。

幻のあの味を求めて

次はコーヒー焙煎篇の予定です。