ごあいさつ
きっかけは、祖母でした。
私は幼少の頃、家庭の事情から母方の祖父母に預けられて育ちました。
年月が経ち、私が高校を卒業する頃、明治生まれで厳しかった祖父が亡くなり、その頃から、祖母の体調が少しずつ優れなくなってきました。
近所の整形外科に毎日のように通院しても良くなりませんでしたし、ある温泉病院に入退院を繰り返していたこともありましたが、あまり改善しませんでした。
そうこうしているうちに、祖母の体力は徐々に落ちていき、毎日の通院もままならなくなり、家の中へ引き籠もりがちになってしまいました。
整体師となった今なら、祖母の身体に何が起きていたのかちゃんとわかりますが、当時の私ではどうすることもできず、ただただ見守っているだけしかできませんでした。
そんな日々が続いたある日、地元の本屋さんで一冊の本に出会いました。
「骨法の秘密」と題されたこの本には、こう書かれていました。
「ホネを直せば万病治る」
もともと、人の身体や健康に興味があった私は、この本を食い入るように読んでいきました。
日本には奈良時代から伝わる武術があったこと、この武術には整体術もあること、歴史的に見ても医学的に見ても整体術には効果があること、それから、簡単な身体のチェック法やセルフケアの仕方まで書かれていました。
この本に書かれてあることに対して賛否両論あるとは思いますが、私はこの時、手術でも薬でもない、整体という新しい可能性に確かに出会ったのです。
残念ながら、当時の骨法整体は一般公開されておらず、内弟子さんにのみ伝授されているものでしたので、私が骨法整体を学ぶことはありませんでしたが、この体験をきっかけとして、私は整体の世界に入門することとなりました。
その後、祖母はしばらくの間、引き籠もり生活を続けていましたが、やがて祖母は独居となり、自宅で転倒したことをきっかけに施設に入所し、最期は認知症を発症して他界しました。
祖母は、俳優で歌手でもある杉良太郎さんのファンで、家でよくカセットテープを聴いたり、コンサートに行ったりもしていました。
それ以外にも、祖母はよく外出する人で、幼かった私も、よく一緒に連れて行ってもらった記憶があるのですが、そんな生活が、身体を壊してしまったことで一変してしまったのです。
私は結局、祖母に何もしてあげられませんでした。
この思いが、私の中にはずっとあります。
多分、この思いはこれからもずっと続くでしょう。
私はもう、祖母のような人を見たくありません。
みんなに笑顔でいてほしいと思っています。
そのために私は、整体の技を使います。
私が施術することで、一人でも多くの方が元気を取り戻していただけたら、こんなに嬉しいことはありません。
これが私の、整体師としての存在理由です。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!