我が子のために頑張れる
熊野先生 私が熊野先生にお世話になったのは、3年前に在胎23週600g代で長男を出産した、1ヶ月検診の前日でした。 小さく生んでしまった子どもの心配、まだまだお腹に赤ちゃんがいたはずなのに母乳を出さなければならない状況に気持ちがついて行けない、心も体も準備が出来ていないうちの出産によるショックと苦しさの中で、1日8回3時間おきの搾乳をしていました。 超低出生体重児は、ミルクだと腸が破れ壊死して死に至ってしまうため、どうしても母乳を出さなければならず、自分の搾乳に子どもの命がかかっている、というプレッシャーが重くのしかかっていました。 出産した病院から教わったとおりの方法で搾乳をしていましたが、頑張っても頑張っても胸が痛くて、あまりの痛みでかがめない、お辞儀が出来ない、顔が洗えない、足が洗えない、靴も履けないので夫に頼んでいました。 インターネット等で調べて、病院から教わったとおりに忠実に搾っても、どんなにやっても全く改善がみられなくて、先が見えなくなっていました。 搾乳は嫌じゃないけどツライ、時間どおりに搾っているのになぜこんなに痛いのか?、あと最低半年ただ我慢するだけが解決方法なのか?、と悩んでいました。 「あなたが悪い。他の人は出来ているのに。」と言われるかもしれないと不安に思いながら、1ヶ月検診の前日に夫に付き添われて、熊野先生を尋ねました。 「人工で搾乳しているから、どうしても奥に貯まるのよ。」「母乳は貯めないで、搾りきった方が良い。」と教わり、マッサージを受けました。 帰りに玄関を出ようとして、「靴が履ける!」と声が出ました。 前方にかがんでも、胸が痛くなかったのです。 それから熊野先生のブログを初めから全部読んで、母乳の勉強をしました。本も購入して何度も読みました。 「お金は貯めても良いけど、母乳は貯めてはいけない。」と言うのが衝撃でした。 出産した病院から「あまり搾りすぎると、母乳が作られすぎるから、空になるまで搾ってはいけない。」と言われていたからです。 知らなかった私は、バカみたいに忠実に守っていたのです。 その後2年間搾乳だけで母乳を続けて、今となってはそれは嘘だとハッキリ言えます。 母乳は出しておかないと、貯まった古い母乳の影響で、乳房に多大な支障が出ます。 反対に、空になるまで出しても何も支障ありません。 あんなに苦しんでスタートした搾乳を、まさか2年間も続けられると思っていませんでした。 病院から言われた6ヶ月ですら、遠い遠い道のりに思えたのに。 2年間の搾乳の道は、決して真っ直ぐではありませんでした。 誰かの参考になればと思い、私の工夫を記録しておきます。 あくまでも、私の場合です。 ①メデラ(機械)→手搾りの順で搾る (1回200ml以上出していたので、腱鞘炎がすぐ痛くなるため、まず機械で搾ってから、手搾りで仕上げていた。) ②手搾りに、熱湯消毒した大きなボール又は洗面器等を使う。 (母乳を受け止めるものが広いと、あらゆる角度での手搾りがしやすかった。) ③母乳は、空になるまで毎回キッチリ搾る。 ④可能であれば、搾乳カップは2セット以上あると便利。 (洗い替えというか、消毒・乾燥中の1セットと今使う用1セットと回して使える。2年の間毎日使っていると、搾乳カップが割れたこともあったので予備があると安心。瓶もたくさんあると便利。お下がり、ヤフオクやリサイクルショップで購入したり、親の会から頂いたりした。) ⑤搾乳は、母乳の継続を第1の目的にする。 (移動中はクルマの中でも、授乳室やトイレでも搾っておく。母乳が保存できないこともあったが、未来の母乳継続を目的として搾乳し、外出先では搾母乳を捨てることもあった。たった1回分の保存に悩んで、母乳を続けられなくなることの方が不利益だったから。) ⑥水分は十分に摂る。 (大きい水筒にお茶を作っておいて、1日中飲めるようにした。) ⑦乳房のメンテナンスのために、月1回マッサージを受けていた。 搾乳機は、①メデラのシンフォニー(レンタル)、②電動携帯用のピジョン(購入)、③メデラのスイング(頂きもの)を使い分けていましたが、当初はシンフォニーしかなく、外出時は大きなハードケースに入れて、洗浄・消毒道具と一緒に持ち運んでいました。携帯用は一つあると、停電・故障時の予備にもなり安心でした。 当時は、生活の全てが搾乳の継続を目的に回っていました。 最後は、疲労性の蕁麻疹と、疲労性の両腕のしびれが就寝中に目が覚めるほどヒドクなり、卒乳を決断せざるおえなくなりました。 気持ちは疲れてなかったのですが、後から振り返ってみると、慢性的に睡眠不足だったなぁーと思います。 熊野先生がおっしゃるとおり「母乳は出すものであり、出るものではない。」ということが、よく分かりました。 出ないと言う人の多くは、よく話を聞くと夜寝てしまっていました。 本気で母乳育児をしたければ、出産直後は最低3時間おきに授乳か搾乳するしかないと知りました。 「量が足りなければ、回数で補う。」というのも本当です。 それから、病院での直接母乳の練習が30分しかなく、職員の勤務時間で区切られたものだった上に、長男の吸啜が弱く直接母乳はできない、瓶哺乳になると言われたことに悩んでいた際に、「直接飲めるかどうかよりも、子どもの命の方が大切。瓶で飲めるなら、そちらを優先させて良いんじゃない。」と助言して下さって、どれだけホッとしたことか。 「直接吸えるようになるまで、もっと頑張らないと。」と言われるのではととっても不安だったのです。 死産・流産・早産と続き、どんなに頑張っても何もできないダメな母親だと思っていた私は、たった1つ、搾乳をやり遂げたという自信を持つことが出来ました。 子どもの命のために無力だった自分が、やっと子どもの役に立つことが出来ました。 本当に感謝しています。ありがとうございました。 |
はくちゃんママさ |