誕生秘話
弘徳寺を建立したのは、姪浜に住んでいた呉服商の森山真恵。
彼女はそれまで、足袋や和服の仕立てをして暮らしていました。
ところが、夢に不動明王が現れたことをきっかけに、人生が一変。
ついには不動山弘徳寺の初代住職となるに至りました。
海軍少佐だった夫の森山文吉の留守を守り、呉服商として暮らしていた森山真恵。
ごくふつうに暮らしていたある夜のこと。夢に突然、不動明王が現れます。
それでもしばらくは、単に「おかしな夢を見た」と思っていただけでしたが、その後も同じようにまた、夢に不動明王が現れます。
そして年の瀬のこと。ついに、大きな発見をします。
大掃除をしていたときに、ふだんは誰も見ないような呉服店の一番奥の隅に、なんと一体の不動明王を見つけたのです。
これは夢に現れた不動明王に違いないと驚いた真恵は、不動明王を床の間に丁重にお祀りし、朝夕にお参りをするようになりました。
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不思議なことはこれだけでは終わりませんでした。それからというもの、何かとお告げがあるようになったのです。
「これは私が仏に仕えるお知らせだ」
そう感じた真恵は、商売をやめ、京都の本山に出家することを決めたのです。
その後、真恵は姪浜に庵を建て「真言宗弘徳院」と命名し、本格的に人助けの道、信仰の道に入りました。
その評判は次第に広がり、多くの人が訪れるようになっていきました。
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その後「真言宗弘徳院」は、姪浜から糸島農業高等学校付近に移転。
さらに大正末期に現在の場所に移転、新築。そして、寺院名も「弘徳院」から「弘徳寺」になり、現在に至っています。
初代住職 森山真恵