第 6章 観察の対象を広げよう
5 社会現象をチェックする
今、マスコミで話題になっている事件に接して、あなたにどんな想念が沸き起こっていますか？
政財界の汚職 ・・・血税をもてあそぶなんて、許せん ！
政治家の離合集散と無策ぶり ・・・何を言っても無駄。しょせん世の中は良くならない。
宗教教祖の不正 ・犯罪・・・これだけ事件が相次いでいるのに、なぜ宗教なんかにすがる馬鹿な連中がいるんだろう？
若者の凶悪化 ・・・近頃の子は恐ろしくてついていけないよ。どんな躾をされたんだか。
企業の倒産 ・合併 ・・・うちも時間の問題だ。どうしよう。
精神異常者による殺人・・・気をつけないと、いつ自分も被害に遭うやら。
あなたの周囲は鏡である、と言いましたが、あなたの友人には友人がおり、あなたの家族には親戚がいて、そのまた親戚もいます。こうやっていくと、実は切れ目がどこにもないことが判ります。
つまり、あなたの属する社会そのものがあなたの鏡になっている、ということです。
社会現象に対して、あなたの中で激しい反応（多くの場合、怒りや恐怖）があるなら、あなたも当事者だ、ということです。
多くの場合、これらの想念の根本には、被害者意雄や賁任転嫁の姿勢 、依存心が隠れています。
「自分は悪くない。悪い（おかしい）のはあいつらだ」というわげです。
想念観察を知ったあなたは、一方的に社会批判を続けようとする心の中の「評論家 さんからひとまず離れてみて下さい。
その想念に飲まれることなく、自分自身の問題として視点を変えて、徹底観察して下さい。
金融 ・保険業界・会社組織の現状に怒りや不安を感じているあなたは、そうしたものにすがって安心 ・安定や保証を得ようとしてきました。
そのあなたは、神や教祖におすがりする人たちと、どこが違うのでしょうか？ より強いもの・安心できる存在にすがって生き延びようとする政党 ・企業と、あなたはどこが違うでしょうか？
若者が凶悪化しているのは、孤独であり、将来に対して何の希望も見出せないからです。お金や学歴が最優先されている今日の社会が生み出した弊害を象徴しています。
この社会にどっぷり浸かっているあなたは無関係だと言えますか？ 彼らと違って、今を満たされた気持ちで生きている、とあなたは自信を持って言えますか？
このような社会情勢のもと、ますます想念の沸騰しがちなあなたは、殺人事件を起こした精神異常者に、明日の自分の姿 （鏡） を見た方がいいかもしれませんよ。
この社会を変えていこうとする時、何一つ行動を取ろうとしないあなたは、人任せにしていながら、政治家というあなたの鏡の無策ぶりを非難します。
政治家を選んだのはあなたであり、彼らを好き放題にさせているのもあなたです。誰もが「こんな世の中にしたのは自分ではない。私は悪くない。誰かがやればいいんだ 」と思っています。
では実際のところ、誰が世の中を変えていくのだと思いますか？
◇実践 テレビウォッチング
1 テレビニュースを見て、あなたが著しく反応する事件 ・出来事はなんでしょうか？
自分自身の問題として（どういう点で鏡になっているのか） 、よく観察して下さい。
2 芸能人の間で繰り返される離婚劇やいがみ合いを見て、あなたにどんな想念が流れますか？
強い関心を持ったり、当事者の一方に強い共感 ・不満を持つようなら、あなたの中にも共通して存在する側面を、彼らが映し出してくれていると考えていいでしょう。それを良く観察して下さい。
3 ドラマやバラエティ番組を見て、特定のタレント （役柄） に好感や不快感を持つことがあります。「あの人好き／ 嫌い」というお決まりのセリフをテレビの前で垂れ流すのをやめ、あなたのどんな側面を鏡として映してくれているのか、観察してみて下さい。
以上についての留意点は次の 2つです。
・善悪の判断をどのくらいしているかをよく見る。
・別の視点から見直してみる （否定的に見ていた現象の肯定的な面はどんなものがあるか ） 。
想念に山と谷があるように、あなたがある事件・現象・人物・団体に否定的な面を見出したとするなら、必ずその反対の肯定的な面もあります。なぜなら分けたのはあなただからです。
さまざまな角度から見直して下さい。