・梨を食ふほかの響きを失ひぬ 関灯之介さん
・草餅を千切ればゆつくりと縮む 加藤右馬さん
・紫陽花を曲り白あぢさゐの家 清水縞午さん
・氷柱太し剥製店といふ民家 北杜青さん
・硝煙は次の花火に染まりけり 山本たくみさん
・おむすびむすぶ花冷の喪の厨 藤色葉菜さん
・平凡な茄子ときゅきゅっと暮れている 酒井おかわりさん
・プリン型通りにプリン夏痩す かむろ坂喜奈子さん
・馬乳酒に堕ちて這い出す秋の蝿 池之端モルトさん
・はつゆきのひらと造花を信じきる 内野義悠さん
・天井が白い成人式だつた 岡一夏さん
・退学の友が呉れたる柿よく嚙む 橋本牧人さん
・刃に運ぶキッシュ一切れ鳥の恋 田中木江さん
・小鳥来る椅子はまだ進化の途中 髙田祥聖さん
・草餅を千切ればゆつくりと縮む 加藤右馬さん
・煤逃の新幹線でゆくところ 延邨佳直さん
・病む口へちひさき氷クリスマス 寺澤佐和子さん
・兄が投げ弟が追ふ浮輪かな 髙田礁湖さん
・へんてこな浴衣で母と差し向ふ 小笠原黒兎さん
・寒風にかつをぶし屋のありにけり 矢野美智子さん
・スプーンで切るやキャンプのなにもかも 山本たくみさん
・小鳥来る数多の雲を乗り越えて 大久保昇さん
・冬の海ゆつくり歪み続けをり 潮見悠さん
【 鴇田智哉先生15句選 】
・手袋の手に掴まれて手の硬さ 川田果樹さん
・ボイジャーの余命や烏瓜の花 秋谷美春さん
・天竜を兄とし冬の鉄路かな 陰山恵さん
・芸人が美顔器売つてゐる夜長 多喰身・デラックスさん
・寒暁は薄ら笑ひのごと棘(おどろ) 延邨佳直さん
・けふボルト抜く子としやぼん玉を吹く 藤色葉菜さん
・しゃぼん玉わらわら機械の体欲し 牧野冴さん
・・・以上となります。
なお、応募作品につきましては、応募時に掲載OKだった方の作品集を
店内に置かせていただく予定です。
また、鱗kokera賞受賞の2作品につきましては鱗kokera賞は第2回も実施する予定です。
惜しくも受賞を逃された方々もぜひまた挑戦をお願いいたします。
皆様のおかげで1周年を迎え、さらにこのような素晴らしい賞を創設することができ
感謝のきもちでいっぱいです。
今後とも鱗kokeraを何卒よろしくお願い申し上げます。
最後に、お忙しいなか、予選からお時間を割いてくださった
村上鞆彦先生、西村麒麟先生、鴇田智哉先生、
本当にありがとうございました。