ごあいさつ(神在月)

 

先頃の暑さが嘘のように涼しくて過ごしやすい時候となりました。稽古にも最適の時期となりました。皆様には、それぞれの地域や職場等でご精進のことと思います。

さて、本会が発足して一周年(新型コロナウイルス感染症拡大防止策として休止した期間がありましたが・・・)を迎えました。一周年を祝って記念行事等を考えましたが、新型コロナウイルス感染症の現況を考慮して見送ることとしました。いい時期に計画したいと思います。

8月から再開して二ヶ月間、調整的な稽古を行ってきましたが、今月からは少しずつ本来の稽古に戻したいと思います。ただ、まだ稽古が充分にできていない方は、ご自分の体力等に応じて無理のないようにお願いします。最近は若い方の参加が極めて少ない状況です。お互いに誘い合ってたくさんの皆様が参加してくれることを期待しています。

 

今回は、高野茂義先生の著書「剣道一路」より極一部を抜粋して紹介します。

高野茂義先生は昭和32年に81歳でなくなっておられます。この著書はその前年80歳のときに書かれたものです。高野茂義先生は養父の高野佐三郎先生と違って、殆ど著書等が見つかりません。恐らくこれが唯一のものではないかと思われます。剣道一筋に生きてこられた人生を振り返って、剣道に対する思いを述べておられる貴重な書物です。

 

「動にして静を失わず」

剣道において、腕力に頼ることは禁物である。若いうちは血気の故に左程とも感じないが中年以降から剣の動きが落ちてしまう。よく道場などで、大声を張り上げて飛び上がりざま剣を振っている者があるが、そういう方に限って素人が多いようだ。道場の隅から隅へ素早く動くのは結構だが、そのときはツーツッとスリ足を使うべきである。音を立てて飛び廻るのは心得のない人だ。そして面を打つにしても遠くから勢い込んで打つのは素人目には動作が大きくていいようだが、剣が一番力強い効果をあらわすのは、間合に入って、真上から振り下ろすのが第一である。

 業から入り、而して体力、気力を身につけた人は恐ろしい。こんな人は何歳になっても本当の剣道のできる人である。反対に力一方で来る相手は扱いやすく、業で来る相手は例え下位の場合でもなかなか手強いものである。

 私は若いうちは力があったから、相当重い竹刀をあやつったものだ。そして老境に入るに従い、しっかりした軽い竹刀を使った。軽い竹刀を重く使い(鈍重という意味ではない)、重い竹刀を軽く使うのが剣の妙諦である。重い竹刀で強く打つのは誰にでもできる。軽い竹刀を重く使うコツは、やはり何と言っても心の持ちよう一つである。私の座右銘に「動不静」というのがある。大谷光瑞氏に書いて頂いたものだが、剣道修行者の心構えを言い得て妙であると思う。軽い竹刀を重く使うのも、その心は、動にして静を失わない日頃の修錬一つにあるのである。

以上

今月の稽古日は次のとおりです。

 3日、17日、31日 の3回です。

  

令和2年10月1日

                                  深久会会長 高木弘伸

 

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