ごあいさつ

事業承継について

~以下、事業承継ガイドライン(平成28年12月 中小企業庁)より抜粋~

「事業承継ガイドライン」を策定しました (中小企業庁)

 

 

〇中小企業における事業承継の現状
① 後継者確保の困難化
 日本政策金融公庫総合研究所が2016 年に公表した調査によれば、調査対象企業約4000 社のうち60 歳以上の経営者の約半数(個人事業主に限っていえば約7 割)が廃業を予定していると回答している(図表6)。そのうち廃業を予定している企業に廃業理由を聞いたところ、「当初から自分の代限りで辞めようと考えていた」(38.2%)、「事業に将来性がない」(27.9%)に続いて、「子供に継ぐ意志がない」「子供がいない」「適当な後継者が見つからない」といった後継者難を挙げる経営者が合計で28.6%に達した(図表7)。

 

 図表6:後継者の決定状況

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図表7:廃業予定企業の廃業理由  

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② 親族外承継の増加
 後継者確保の困難化等の影響から、近年、親族内承継の割合の減少と親族外承継の割合の増加が生じている。
2015 年に中小企業庁が実施した調査によれば、在任期間が35 年以上40 年未満(現経営者が事業を承継してから35 年から40 年経過している)の層では9 割以上が親族内承継、すなわち現経営者は先代経営者の息子・娘その他の親族であると回答している。
 一方、この調査では在任期間が短いほど親族内承継の割合の減少と従業員や社外の第三者による承継の増加傾向が見られ、特に直近5 年間では親族内承継の割合が全体の約35%にまで減少し、親族外承継が65%以上に達しているとの結果が示されている(図表10)。


 図表10:経営者の在任期間別の現経営者と先代経営者との関係
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〇早期取組の重要性
 前記で紹介したように、かならずしも業績に問題のない中小企業が廃業の道を選んでしまう実態が存在する。そのような中小企業がやむを得ない廃業に至ることなく、円滑な事業承継を実現するためには、早期に事業承継の計画を立て、後継者の確保を含む準備に着手することが不可欠である。

 

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 事業承継には明確な期限がないことから、差し迫った理由、例えば健康上の問題等がなければ、日々の多忙さに紛れ、対応を後回しにしてしまうことはやむを得ない側面もある。しかし、経営者の交代があった中小企業において、交代のなかった中小企業よりも経常利益率が高いとの報告(図表13)もあり、事業承継を円滑に行うことができれば事業の成長の契機となる。その反面、失敗すれば事業の継続自体も危ぶまれる可能性がある。
このことから、中小企業経営者が、自身の経営者としての責任において向き合わざるを得ない課題が事業承継なのである。

 

 図表13:経営者の交代による経常利益率の違い

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〇事業承継の類型

  (1)親族内承継
 現経営者の子をはじめとした親族に承継させる方法である。一般的に他の方法と比べて、内外の関係者から心情的に受け入れられやすいこと、後継者の早期決定により長期の準備期間の確保が可能であること、相続等により財産や株式を後継者に移転できるため所有と経営の一体的な承継が期待できる。

 

(2) 役員・従業員承継
 「親族以外」の役員・従業員に承継する方法である。経営者としての能力のある人材を見極めて承継することができること、社内で長期間働いてきた従業員であれば経営方針等の一貫性を保ちやすい。

 

(3)社外への引継ぎ(M&A等)
 株式譲渡や事業譲渡等により承継を行う方法である。親族や社内に適任者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることができ、また、現経営者は会社売却の利益を得ることができる。

 

 

〇事業承継の構成要素
 事業承継は単に「株式の承継」+「代表者の交代」と考えられることがあり、事業承継対策といっても、例えば親族内承継であれば一時的に利益を減らして株価を下げて贈与すればよい、M&Aであれば株価の評価を高め売却益を確保すれば良いといった手法の議論に終始してしまう傾向があることが指摘されている。
 しかし、事業承継とは文字通り「事業」そのものを「承継」する取組であり、事業承継後に後継者が安定した経営を行うためには、現経営者が培ってきたあらゆる経営資源を承継する必要がある。後継者に承継すべき経営資源は多岐にわたるが、「人(経営)」、「資産」、「知的資産」の3 要素に大別される。

 

 図表14:事業承継の構成要素

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 円滑な事業承継を実現するためには、上記の各経営資源を適切に後継者に承継させていく必要がある。冒頭で例に挙げた株式の承継も、事業承継にあたっての重要な事項ではあるが、事業承継の取組全体の中では資産の承継の一部に過ぎない。

 

 

〇事業承継に向けた準備について
 ここまでに述べたとおり、事業承継の円滑化のためには、早期に準備に着手し、専門家等の支援機関の協力を得ながら、事業承継の実行、さらには自社の事業の10 年後をも見据えて、着実に行動を重ねていく必要がある。
どのような経営者であっても、まずは事業承継に向けた準備の必要性・重要性をしっかりと認識しなければ、準備に着手することはできない。次に、経営状況や経営課題等を把握し、これを踏まえて事業承継に向けた経営改善に取り組む。ここまでで、事業承継に向けて中小企業の足腰を固めることができる。その後、親族内・従業員承継の場合には、後継者とともに事業計画や資産の移転計画を含む事業承継計画を策定し、事業承継の実行に至る。他方、社外への引継ぎを行う場合には、引継ぎ先を選定するためのマッチングを実施し、合意に至ればM&A等を実行することとなる。さらに、事業承継実行後(経営交代後の取組=「ポスト事業承継」)には、後継者による中小企業の成長・発展に向けた新たな取組の実行が期待される。

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