『1F弦高』とは、文字通り第1フレット上の弦の高さ(フレットと弦の隙間)のことです。

ここの高さはロー・コード(ナットに近い位置で押弦するコード)の『押さえ心地』に大きく影響しますし、それは上達の速度にも関わりますので、とても重要な調整箇所なのです。

 

まず『1F弦高』の工場出荷値はどうなっているのかというと、通常は各メーカーが定めた基準値にセットしてあります。

ところが、この基準値は誰にでもちょうど良い高さとは限らないことはご存知でしょうか。

 

そもそも、その基準は『誰がどのように弾いても』解放音のバズを出さない(出させない)ような高さになっていることが基本なんです。

そしてそれは『大人の男性のある程度の強めの力』で弾いても極力バズらないようにセットしてあると思ってください。

なので、大人の男性がちょうど良いと感じる高さだったとしても、それが女性や子供さんにもちょうど良いとは限らないのですね。

この『1F弦高』は、低めにセット(フレットと弦の隙間を小さく)するほど弦が押さえやすくなりますので、よく言われている『Fコードの壁』は、ここの調整次第で乗り越えられるかもしれません。

 

また、『1F弦高』の値は全弦同じ値ではなく、6弦から1弦へ向かって段階的に低くなるようにセットするのが一般的ですが、この段階の具合が少なすぎたり、スムースに並んでいない(凸凹しているような)場合も『Fコードの壁』となり得ます。

この『凸凹』については、例えば1弦と2弦のそれぞれの高さが違いすぎた場合、何かのコードからFコードに押さえ変えた時に『それぞれの弦のフレットへの着地時間にタイムラグ』が起こりますので、着地が遅れる高い弦高の弦が鳴らない、濁る、つまるというような現象が現れることがあります。

 

『凸凹』の簡易的な確認方法として、人差し指で1Fのみをセーハしていただけると分かりやすいかもしれません。

いきなり押さえずに、弦に指を乗せてからゆっくりと弦を押さえてみると各弦がフレットに着地する様子が確認できます。

そこで、全弦がほぼ同時にフレットにつくように押さえることができるのか(指を置くポジションや力加減も工夫して)を確かめてみてください。

ゆっくり、慎重に、しっかりと押弦すれば綺麗に鳴るのに、曲を弾くと鳴らないのでしたら『凸凹』の可能性があります。

Fコードが綺麗に響かない原因は、あなたにあるのではないのかもしれませんね。

 

『1F弦高』は12F弦高と同様に人それぞれの値がありますので『これがベスト!』という値は一概には言えませんが、あくまでも一般的な値として『0.5mm』を超えると高めと言えると思います。

ただし、工場出荷値がベストとなる方もいるはずですので、『0.5mm』以上を必ず低くすべきとのことではないとご理解ください。

押さえやすさを求めて低くしすぎると、解放音を弾いた時に振幅する弦が1Fのフレットに接触しバズが出るようになることがありますし、押弦位置よりナット側の弦がフレットに接触して共振ノイズが発生してしまうことがあります。

 

ちなみに、メーカーがこのように安全策的なセッティングで出荷するもう一つの理由として、使う方にとっての適切な高さに調整する余地を残しておくという意味もあります。

『1F弦高』は、人によってはギターを購入してまず調整を必要とする重要なところと言えますが、『ネック(ネック・リリーフ)調整』、『12F弦高(サドル)調整』と併せてバランスをとることが理想と思います。

 

なかなかややこしい話ですので、十分に解説ができていないかもしれません。

ご質問があればいつでも承ります。