税情報まとめ
相続で事業を引き継いだ場合の消費税の納税義務
事業をされていたご家族が亡くなり、事業を引き継ぐ場合の消費税の納税義務について
消費税の申告義務の判断は基準期間(個人の場合:前々年)が1,000万円かどうかで判断します。
相続の場合に相続人自身は基準期間がありませんが、被相続人の課税売上高を含めて判断することになります。
*基準期間が1,000万円以下の場合でも特定期間(個人の場合:前年の1月1日から6月30日までの期間)に課税売上高・給与等支払額が1,000万円を超える場合は課税事業者となります。
【相続があった年】
〇相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高1,000万円超の場合
→相続のあった日の翌日からその年の12月31日までの期間 相続人は課税事業者となります。
〇相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高1,000万円以下の場合
→相続のあった日の翌日からその年の12月31日までの期間 相続人は免税事業者となります。
【相続があった年の翌年または翌々年】
〇相続があった年の翌年または翌々年の基準期間における被相続人の課税売上と相続人の課税売上との合計額が1,000万円超の場合
→相続人は課税事業者となります。
〇相続があった年の翌年または翌々年の基準期間における被相続人の課税売上と相続人の課税売上との合計額が1,000万円以下の場合
→相続人は免税事業者となります。
*相続人が免税事業者となる場合でも、課税事業者を選択した場合は免除とはなりません。
使用貸借にかかる土地の相続税の評価|自用地評価と例外
使用貸借にかかる土地の自用地評価とその例外の取扱い
使用貸借は無償により土地や建物等の目的物を使用収益を得た後に返還する契約をいいます。
<返還の時期については>
民法改正後の令和2年4月1日から
〇使用貸借の期間を定めたとき ⇒ その期間の満了によって終了し返還
〇使用貸借の期間を定めなかったとき ⇒ 使用収益の目的を定めたときはその目的を終えたときに返還
〇借主が死亡したとき ⇒ 死亡により終了し返還
使用貸借契約により借主が使用している権利(使用借権)は無償で借りている事から借地借家法による法的保護はありません。
また、固定資産税程度の費用負担をした場合も使用貸借の範囲となり無償扱いとなります。
<相続財産として>
使用貸借で土地等を貸していいた貸主が死亡した場合のその土地等は相続財産ですが、使用貸借で土地等を使用していた借主が死亡した場合は、死亡により終了するため相続財産にはなりません。
<相続税評価について>
使用貸借に係る土地又は借地権を相続又は贈与により取得した場合はその土地の上にある建物等又は当該借地権の目的となっているその建物等が自用又は貸付けの区分にかかわらず、全て自用地としての評価をします。
例外として
相続や贈与の前に所有している土地と建物を他に賃貸していた場合、建物のみを子に贈与したときは既に贈与以前から賃貸借契約を交わしていた借主の建物の敷地の利用権が侵害されることはないと取り扱われるため、この場合の貸家の敷地の相続税評価は 貸家建付地としての評価をします。
相続により取得した事業用資産について|被相続人からの引継ぎ
賃貸用の不動産などを相続により取得した事業用資産について
被相続人から 取得価格、耐用年数、経過年数、未償却残高
を引き継ぎますが、償却方法 は引き継ぎませんので相続時点で
適用可能な償却方法で減価償却を計算します。
*減価償却資産の取得は 購入や自己の建設によるもののほか、
相続、遺贈または贈与によるものも含まれるため、取得時点
の償却方法を適用します。
平成19年4月1日以降に相続により減価償却資産を取得した場合
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/23.htm
子や孫へ生活費や教育費を贈与したときの取扱い
贈与税の非課税となる財産|子や孫への資金援助
〇子や孫の大学進学の際の入学金や授業料、婚姻の際の結婚式や披露宴の費用を親又は祖父母が負担した場合など、生活費又は教育費に充てるためにした贈与のうち通常必要と認められるものは課税の対象になりません。(相続税法第21条の3①二)
〇この支出のポイントは、生活費又は教育費として必要な都度直接これら用に充てるための贈与であることですので、以下のような場合は非課税となりません。
・前もって一括して贈与
・受取った財産を貯金
・株式や不動産を購入する資金へ充てた
例えば孫が進学予定だから一括して贈与しておくというような場合は非課税となりませんので、令和5年3月31日までの特例「直系尊属からの教育資金一括贈与に対する非課税特例」の活用を検討していきます。
また、「通常必要と認められるもの」には贈与される子や孫に十分な資力があって、生活費又は教育費の費用を自ら負担できると判断されるような場合は社会通念上適当と認められる範囲かどうか、注意が必要です。
預金利子などの財産の果実だけを生活費又は教育費に充てるためにその預貯金等の財産の名義を変更した場合は、名義変更したときにその預貯金等の財産の贈与があったものと判断されます。
少額減価償却資産の特例措置の延長について|貸付用資産は除かれましたが、主要な貸付事業者は適用可
少額減価償却資産の特例措置|貸付用資産は除かれましたが、主要な貸付事業者は適用可
〇中小企業者等は30万円未満の減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度に即時償却ができます。
(令和5年度まで延長)
〇今回の改正で適用対象の資産から貸付けの用に供した資産は除かれました。
〇ただ、リース・レンタル業を行う事業者や子会社等に対して貸付を主に行っている業者等は引き続き、この特例の適用が可能です。