蛋白尿の多い状態が持続するIgA腎症の予後は極めて不良です

蛋白尿が少ないまま経過するIgA腎症の予後は良好ですが、一方で、蛋白尿が多いまま経過するIgA腎症の予後は極めて不良です。

10年ほど前より、IgA腎症において経過中の蛋白尿の平均値と予後に強い相関があることが繰り返し報告されています。
  〜 IgA腎症以外のCKDでも同様の報告があります 


初発時より蛋白尿が多いIgA腎症において その蛋白尿が持続した場合、
初発時に蛋白尿が少なくても、その後に 蛋白尿が増加し持続した場合
 〜 いずれもが予後不良の経過をとります。

 〜 一方で、一度蛋白尿が増加しても、その後に蛋白尿が減少・維持された場合の予後は極めて良好です。

 

 

 

1g以上の蛋白尿が持続すると、10年で3割程度 15年では5割以上 が末期腎不全に進行してしまいます。

 

Time average proteinuria が 1g を超えた群の予後のKM解析では15年で 5割以上が末期腎不全に至っています。
J Am Soc Nephrol 18: 3177–3183, 2007    https://jasn.asnjournals.org/content/18/12/3177
Figure 1 


また、初期蛋白尿が1g以上であり、その後も1g以上が持続したIgA腎症のKM解析では20年で7割が末期腎不全と報告されています。
J Am Soc Nephrol 22: 752–761, 2011   https://jasn.asnjournals.org/content/22/4/752
Figure 3  パネルB  青い四角

日本からの小林豊先生の学会報告でも、1g以上の蛋白尿が1年以上持続したIgA腎症の予後は20年で約5割が末期腎不全にいたったとする報告があります。

 

 

まとめると、蛋白尿1g以上に増加、かつ、持続する IgA腎症 の予後は極めて悪い、ということになります。

 

 

より詳しくは Time average proteinuria と 腎予後 ➡️  をご参照ください。