労働問題

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 解雇の有効性や残業代をめぐり労働基準監督署より連絡があった場合に、調査の立会等をさせて頂いております。
 その際に、重要なのは、法律上意味のある争点を提起することです。
 例えばサービス残業の有無が争いになっている際に、使用者側による、実質拘束時間であったか否かを争うことは意味がありますが、「残業代は一切請求しない」という念書をとってあることをもって、残業代を支払わないというのは労働基準法に反するので、法律上失当であり、意味がありません。
 意味がないばかりか、後に訴訟や労働審判になった場合に、せっかく法律上意味のある争点を提起できる立場であるのに、「使用者が、不合理な弁解に終始していた」として被用者側に有利な証拠としてこれを援用されることすらあり得ます。
 何が法律上意味のある争点なのか、意味の無い争点(主張自体失当なのか)は、過去の裁判例などをもとに検討する必要があります。

 

 

 

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 我が国の労働法制では、解雇のハードルは高いものの、合意による退職(退職勧奨)は当事者の合意があればできます。
 そのため当事務所では、法律上の要件の厳しい解雇は最終手段としてとっておき、可能な限り合意による退職という手段をとることをお勧めしております。
ただし、その際の、当該被用者との合意のとり方、前提としての話の持って行き方などは、被用者側から「事実上強制されたに等しい」という主張を回避するためにとても重要です。
 また合意による退職を勧めるには、「なぜ使用者が退職を勧めるのか」という事情を当該被用者に(もっと言えば、仮に紛争が顕在化した場合に裁判所に)理解してもらえることが必要です。
 そのために各ステージに応じて、どのような資料を作成するのがよいのか、使用者側弁護士としてご助言させて頂いております。

 

 

 

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 被用者から労働審判の申立や、訴訟提起がなされた場合、応訴しなければ欠席判決となり、請求がそのまま認められてしまいます。
労働審判は原則3回で終わる制度であり、当初から、被用者側の主張に対して、過去の使用者側の有利な裁判例等を引用しながら、網羅的に反論をする必要があります。
 他方、訴訟では、労働審判のような回数制限はないものの、長期化すると、未払賃金相当額が膨れあがり、敗訴した場合に相当額の支払を求められるリスクもあります。
 そこで、過去の裁判例や証拠関係等に照らして、早期解決が望ましいのか、徹底抗戦をしてもよいのかという方針も含めて、使用者側の立場で最も筋の良い主張を比較的早期に固めることが、事件分野的には特に重要です。