個別事案④ 死亡事案について

 死亡事案において、特に争点となり得るのは、逸失利益の計算方法です。
 逸失利益とは、当該事故がなければ得られたであろう、稼働利益をいい、所定の計算方法があります。
 若年者の場合は、裁判手続きの場合、平均年収を基礎とする場合も多いのですが、保険会社との任意交渉の場合は、実収入を基礎とされます。
 当地の場合、若者の給与が全国平均よりも低額な場合が多いことから、その差額だけで1000万円単位の金額になることが少なくありません。
 また、主婦は、家事について全労働者の女性平均値を採用するのが本来なのですが、このあたりも保険会社との任意交渉だと、同平均値を大幅に下回る彼らの内部決済基準で提示される場合が多いようです。
 この他、死亡に限らず、高度障害の場合、本人慰謝料とは別に近親者固有の慰謝料というものが認められます(民法711条参照)。
 このあたりは代理人弁護士が就いていても、意外と請求項目から漏れている場合が多いようです(裁判所の和解案等では本人慰謝料と一括して提示されることもあります)。