後遺症障害について

 後遺症障害とは、治療を継続しても、症状の改善が認められない場合に、それ以上の治療を続けても仕方がないから、後遺症として認定して、認定された等級に対する後遺症を支払うという制度で、後遺症認定自体は自賠責の調査事務所というところが実施しております。
 後遺症障害診断書という定型の書式があり、ドクターに記入して頂くことになります。
 その際、まず「自覚症状」の欄に被害の実態を、できるだけ具体的に記入して頂くこと(ex「気圧の低いときに頚部付根付近に継続した鈍痛がある」「5分以上歩くと、右下肢にびりびりとした痺れが生じ、以後歩行困難になる」など)が重要です。
 記載が抽象的で、あっさりとしたものだと被害の実態が伝わらないからです。
 さらに、「自覚症状」を基礎づける「他覚所見」の欄に、外傷性の所見が認められる場合、当該箇所の特定して頂くことはもちろんですが、例えば仮に外傷性の所見でなく、加齢性の基礎疾患を認めるに過ぎない場合も、当該疾患の内容(ex「MRI上、C5/6の椎間板軽度膨隆が認められる」等)を記入していただくようお願いしております。
 自賠責の段階ではなかなか難しいですが、訴訟をすると、加齢性の基礎疾患を基礎として現症状が出現していることの医学的な説明可能性があれば(診断ではなくとも)、後遺症障害の14級認定(「局部の神経症状」等)相当の慰謝料は認められます。
 このような後遺症障害認定上の留意点について残念ながら一般に医療現場での習熟性はがないため、当事務所から特に、後遺症障害診断書作成に先立ち、依頼者の現症状に鑑みて、認定のポイントとなりそうな点を、参考文献等を添付のうえ、ドクターにお願いの文書を作成している次第です。