第41回 今年の夏の過ごし方

東日本震災からはや3ヶ月が過ぎました。依然としてニュースで見る被災地の状況は悲惨なものですし、福島原発の事故処理も遅々として進みません。現地で復興や事故処理に当たっている方々のご努力には本当に頭が下がります。東北から離れた大阪ですが、出来ることがあればお手伝いしたいと思います。
 もうすぐ、梅雨が明け夏本番となります。先日のニュースでは、約50%の電力を原子力発電に頼る関西電力でも今夏、電力不足が予想され、15%の節電の協力を要請しています。クリニック、自宅を振り返ってみると普段からそんなに電力を野放図に使っているわけでもなく、15%というのは結構厳しい目標ではないかと思います。せいぜい思いつくのは、テレビやコンピューターの主電源を切って、待機電力をなくすことやエアコンの温度を上げることですが、エアコンはすでにいつも28度くらいに設定していますし、仕事以外のときはエアコンも切っています。クリニックでは、電灯も省電力のLEDに交換する予定ですし、15%と言っても何をすれば15%になるのか関西電力には明確にして欲しいと思います。
 さて、ここで心配になってくるのは、熱中症です。エアコンを使うことを遠慮してしまうあまり、もし今夏も昨夏並みの猛暑であれば、熱中症になる患者さんがぐっと増えるのではないでしょうか?日本救急医学会でもそのようなことを心配していました。対策としては、高齢者はエアコンをつけるのをためらわない、冷たい飲み物で内側から冷やすということが挙げられていましたが、冷たい飲み物はともかくエアコンを使うことはためらう必要はないと思いました。テレビでは、扇風機を使うことが省電力であると勧められていますが、室温が上がった部屋で扇風機を使うことは、かえって熱中症を引き起こしてしまいます。使うときは、エアコンで室温を下げて、部屋の空気を効率よく循環させる目的で使う、あるいはエアコンが嫌いな方は、できるだけ複数個所の窓を開け、風通しを良くして使うなどの工夫が必要です。冷たい飲み物をどんどん取る必要はありませんが、水分の摂取はしっかりとしてください。私の診察でも、おしっこが近いので飲まないようにしています、など言われる方が何人かおられます。夜、水を飲まなくても脳梗塞にはなりませんが、昼間に水分を取らないと熱中症になってしまいます。気をつけましょう。
 水分の摂取をどの位すればよいかよく聞かれます。1日2L飲まねばいけないとか、いやそれでは足りないとか皆さんテレビの情報番組で言われていることを信じてしまいがちです。でも良く考えてください。冬と夏では必要な水分量は違いますし、同じ水分量を飲んでも出る尿の量は違います。私は、いつも尿量が少なくとも1000mlから1500mlくらいになるように飲んでくださいと説明しています。夏なら、3Lくらい飲まないと1500mlの尿は出ないかもしれませんし、冬なら2Lも飲めば1500ml以上出るかもしれません。おしっこの量なんか測っておれません、と言われる方には、尿の色を注意して見ていてくださいとお願いしています。茶色から黄色の濃いおしっこが出るようなら水分は足りていません、水分を追加してください、薄い黄色の尿なら適量です、色のない透明なおしっこが出ているようなら十分に水分は足りています。皆さんも一度注意して見てみられてはいかがでしょう。結構当たっていると思います。