第14回 血液検査について2(腎機能)

今回も血液検査結果の項目の説明をしたいと思います。

Crn : クレアチニンといいます。難しい話をすると、これはクレアチンといわれる筋肉の収縮のエネルギー源の物質の代謝物です。腎糸球体でろ過されると再吸収されずに尿中に排泄されます。
そのため、 BUN と比べ食事や尿量など外的因子の影響を受けず、いつもほぼ一定の値を示します。
通常、腎機能が半分になってもこの値は変化せず、この値が増えるということはかなり腎機能が悪化していることを示します。

BUN : 尿素窒素といいます。これは、体内におけるたんぱく質の最後の代謝物です。昔からクレアチニンと共に腎機能の評価に使われてきましたが、脱水、心不全、消化管出血、高たんぱく食摂取など外的要因に左右されるところがあり、クレアチニンと比べ値は変化しやすいです。

UA : 尿酸値です。痛風といえば皆さんもあーと思われると思います。痛風は風が吹いても痛むといわれるくらい痛い病気です。尿酸値が上昇するとなぜか足の親指の第一関節にこの尿酸ナトリウムの結晶が沈着し、痛むといわれています。足だけではなく、この結晶が腎の尿細管に沈着すると痛風腎といわれる状態になり腎機能はさらに悪化します。また、尿酸が尿中に出てくることで尿酸結石の原因になるだけでなく、尿の酸性度が強くなりシュウ酸カルシウムや燐酸カルシウムなど他の成分の結石の生成原因にもなります。上昇の原因は、プリン体を多く含む食物 ( ビールや肉類 ) の摂取や腎尿細管において尿酸再吸収が亢進することが原因とされています。

我々泌尿器科医は、これらの値が上昇し腎機能不全である思われる場合、まず超音波検査で水腎症がないか、つまり尿管より下位の場所で閉塞など起っていないか調べます。腎内に尿の貯留があるとこれを水腎症といい、尿管以下の場所で閉塞があることを疑います。これを腎後性腎不全といいます。この場合、尿を別のルートで逃がす必要が出てくるため、腎瘻 ( 背中からチューブを直接腎臓へ留置する方法 ) を造設したり、狭くなった尿管に尿管ステントと呼ばれる硬く細いチューブを留置する必要が出てきます。蛇足ですが、腎後性腎不全に対し、腎前性腎不全と腎性腎不全があります。腎前性の場合、腎に至る手前、つまり腎動脈の狭窄や血圧が低い(ショック状態)ために腎内にろ過すべき血液が十分に流れてこないことが原因ですし、腎性の場合は、まさに腎内の糸球体などに問題があり尿を作れない ( 糸球体腎炎、糖尿病性腎症、ループス腎炎など ) 状態です。
いずれの場合も、腎不全に至る原因の検索と正しい対処が必要になってきます。