第12回 尖圭コンジローマについて

陰茎にできるいぼ、気がつくと徐々に大きくなってくる良性腫瘍の一種です。原因はヒューマンパピローマウィルス(HPV)と呼ばれる病原体が、肛門や陰茎の包皮、亀頭、外尿道口周囲など外陰部の湿潤な部分の細胞に感染することによって起ります。感染は、ほとんどの場合、性行為による接触感染でおこり、感染から約数週間から数ヶ月と幅広い期間を経ていぼの形成が起ります。女性に感染した場合、子宮頸癌に進んでいくことがあり、子宮頸がんの患者さんのパートナーを診察すると尖圭コンジローマがあったということもあります。

よく泌尿器科に陰茎にいぼができました、と青い顔をして受診される若者の場合、亀頭の辺縁にできる白色ー淡黄色のぶつぶつであることが多く、フォアダイスといわれるもので正常なものです。
また、尖圭コンジローマと思っていても病理検査をすると癌細胞が含まれていることもあり注意が必要です。いずれにしても一人で悩まず、恥ずかしがらず、一度泌尿器科を受診され専門的に見てもらうのが近道だと思います。

フォアダイスの場合、治療の必要はありません。ただ、気になる人は美容整形の意味で電気焼灼することができます。あくまで美容整形ですので健康保険は利きません、自費診療になります。
尖圭コンジローマの場合、治療方法は、1)コンジローマに対するクリーム塗布、2)電気メス、高周波メス、レーザーなどでの焼灼術、3)液体窒素を用いた凍結療法、4)抗癌剤入りの軟膏(5-FU軟膏)塗布などの方法があります。
尖圭コンジローマに効果があるクリームが開発されてからまずクリーム剤の塗布が一般的です。これで効果がない場合、焼灼術が一般的ですが、大きな病院などでは皮膚科で凍結療法を行っています。抗癌剤入り軟膏塗布は、健康保険が利きませんので自費診療となります。

原因はウィルスによる感染なので、治療後も感染部位から何度も再発することが多く、同じ場所にできたり、場所を変えてできたりすることがあります。直ったと思わず、経過観察が必要です。また、パートナーに接触感染していることもありますので、パートナーの婦人科での診察も必ず受けて頂かねばなりません。

当院では、クリーム剤の効果がない場合、高周波ラジオ波メス(サージトロン)を用いた切除および焼灼を標準治療として行っています。局所麻酔を行いできるだけ痛みを除いた後、治療を開始します。再発を繰り返す場合、5-FU軟膏塗布を自費治療として行っていますが、皮膚炎、潰瘍を起こす場合があり、十分な説明をし、間違った塗布方法をしないよう注意しています。治療後、3-7日後に再診していただき、傷のチェックを行い、治療は終了します。