第5回 排尿時痛(尿道炎)

泌尿器科にはいろいろな症状を持つ患者さんが駆け込んでこられます。我々からみると同じ病気でも患者さんの表現は様々です。私はなるべく誘導尋問にならないようできるだけ患者さん自身の言葉で表現していただいていますが、時には??となる場合もあります。

排尿時痛、つまりおしっこをするときの痛みも皆さん様々な表現をされます。淋病のときの排尿時痛は飛び上がるほど痛くて、私が学生の頃は焼け火箸(ひばし)を尿道に突っ込まれたような痛みと教えられました。ところが時代が変わると焼け火箸そのものがなくなって(最近の若い方で火箸をご存知の方はそんなにいないでしょう。) “ちょっとづつしかおしっこが出ないです。”とか“すごく痛いです。”といわれて受診される方、また痛みについては我慢されているらしく“膿で下着が汚れます。”といわれる方、股間を指差し“股が痛い!!”と訴えられる方もおられました。

これに対してクラミジア尿道炎のときは、“尿道がかゆいです。”“なんとも言えん位、股間が気持ち悪い。”といわれて受診される患者さんが多いですが、以前に“尿道になにか物が入っている”と言われてびっくりしたことがありました。

訴える症状は様々でも検査所見は正直でこれらの区別はだいたい検尿検査でついてしまいます。淋病のときはかなり強い膿尿(おしっこに白血球がでる)があり、倍率を上げることで原因となる淋菌を顕微鏡で確認することができます。クラミジアのときは軽い膿尿がほとんどです。但し、淋病の時にはクラミジアが混合感染している可能性がありますのでいずれにしても尿にクラミジアが入っていないか調べる検査が必要です。

治療は、いずれも抗生物質を内服することで治癒します。ただ使う抗生物質が違うため注意が必要です。また、両者が混合感染しているときはそれぞれの抗生物質を連続して使わねばなりません。しかし、これらの病気はご本人だけでなくパートナーの方の治療も必要になってきますので、なぜ必要なのか、治療をしないとどうなるのかを十分に理解し治療を受けていただく必要があります。