第4回 血尿について

健康診断や人間ドック、内科の検査などで血尿といわれたことはありませんか?血尿と言われた方のほとんどは無症候性血尿(症状が血尿以外ないもの)で、体には影響しない血尿ですが、中には怖い病気が隠れていることがあります。このように、放っておいても良い血尿と病的な血尿を区別する必要があります。これらを区別するために当クリニックでは血尿を指摘された方に次の4つの検査を行っております。

  1. 検尿(出して頂いた尿を遠心機にかけ血尿の有無、程度を調べます。)
  2. 尿細胞診検査(出して頂いた尿中に癌細胞がないか調べます。)
  3. 超音波検査(腎臓に結石、腫瘍がないか、腎臓が腫れてないか調べます。)
  4. 排泄性腎盂造影検査(造影剤を注射し、尿になって出てくるところをレントゲン写真にして、腫瘍や結石の陰影がないか調べます。)

以上の検査で問題なければ、3-6ヶ月毎に検尿検査を行い、血尿の程度がひどくならないか経過観察します。ここがポイントで、何か異常があっても小さな病変のため最初の検査では見つからなくて、時間が経過し病変が大きくなることで初めて見つかることがあるからです。また、いつも血尿と言われているとか昔から異常のない血尿と言われているとしても新しい病気が出てくることがあります。これらは定期的に検尿することで血尿の程度が強くなっているのか、変わらないのかを調べることで新しい病変を早く見つけることができます。

血尿を呈する代表的な病気

尿路結石:腎臓、尿管や膀胱に石ができ痛みに伴い血尿が出ます。

尿路腫瘍:腎臓、尿管、膀胱や尿道に腫瘍(癌)ができ何の症状もなく血尿だけ出ます。

尿路感染症:腎臓、膀胱や尿道に細菌感染がおき痛みや発熱を伴って血尿が出ます。腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎などです。

糸球体腎炎:腎臓の尿を作る糸球体と呼ばれるところに炎症が生じた状態で、検尿で蛋白尿や白血球円柱などが血尿に伴って見られます。

特発性腎出血:何の兆候もなく血尿になります。検査しても原因は不明で、膀胱鏡をして左右どちらかの尿管から血尿が出てくるのが見えることがあります。

前立腺炎:男性の方で突然コーヒー色または、きれいな赤色の血尿が何回か続き、また元のきれいな尿に戻ります。尿路腫瘍との鑑別が重要になります。