自然派ワイン(Vin Naturel)

 当店のワインはヴァン・ナチュール、又は自然派と呼ばれているものだけをお取り扱いさせて戴いております。

 情熱のある、良心的な酒販店様にご協力をいただき、本物の美味しさを追究し続ける素晴らしい生産者の中から、良質で手頃な価格の物を、厳選してご提案しております。

 

 

 

従来型ワインの場合、大量生産を目指す生産者が葡萄の収穫量の増量だけを考え、農薬や除草剤、化学肥料を大量に使って過保護に育てます。人工的な肥料と農薬で育った虚弱体質なブドウは、酸化しやすいので収穫後すぐに亜硫酸をふりかけられ、自力で発酵する力も弱いために人工の培養酵母を使って発酵をスタートします。更に熟成前と熟成後にも亜硫酸を加え、葡萄が未熟な為に糖度が低くアルコール度数が上がらない場合などは、人為的に補糖を行います。香料と着色料で香りと色を整え、補酸などで人工的に味付け調整を行い、見た目をクリアにするため、味を構成する大切な要素と引き換えに、サラサラにろ過して仕上げられます。

 

 勘違いされやすいことですが、ビオワインや、オーガニックワイン=ヴァン ナチュールではありません。 EUのワイン法による、SO2(亜硫酸/二酸化硫黄)の上限添加量は、赤ワインが150㎎/L、白とロゼが200㎎/L甘口では300~400㎎/Lで、ビオワインであっても、赤ワインが100㎎/L、白とロゼが150㎎/Lです。ただし、人為的に亜硫酸を全く添加しない場合でも、アルコール発酵時に10~30㎎/L程度の亜硫酸は自然に生成されます。世界保健機構WHOで推奨されるSO2の一日当たりの許容摂取量は、体重1kgあたり、0,7mgなので60kgの人で、1日に42mgということになります。(あくまでも、推奨許容量であり、数値を超えると人体に直ちに大きな害があると言っているものではありません。)当店の取り扱いワインに関しては、亜硫酸無添加や、ボトリング時の極微量添加の物が多いので、0mg/L~20mg/L程度の物が主体になります。人為的に亜硫酸を添加していなくても、自然に発生する亜硫酸を含有しているため、酸化防止剤/亜硫酸と表記する決まりになっています。

 

   当店の取り扱いワイン全てに共通して言える事ですが、亜硫酸の添加量が非常に少ない、又は無添加ために、従来型のワインにありがちな、口に含んだ時にムッっとくる感じや、のど越しの悪さがないので、スッと喉を通り、体に沁みていきます。また、亜硫酸添加のタイミングについても、熟成前には添加せず、ボトリング時に極少量を添加している程度のものばかりです。葡萄本来の旨味が、体に自然と馴染んでいくのを感じると思います。お客様に商品をご提案し提供する者として、当店で扱うワインはより体に優しく、安心安全な物を選びたい、と言うことも勿論関係しますが、私が「ご提案したい!」と思う一番の理由は、「有機栽培だから!」でも、「SO2の含有量が少ないから!」でもなく、「本当に美味しいと思うから!」なんです。ヴァン・ナチュールの生産者たちがなぜ現在のようなスタイルでワイン造りをしているのかという理由も、「本当に自分が美味しいと思えるワイン」を模索した結果の手段として有機栽培や無農薬であったり、亜硫酸の無添加(サンスフル)に、必然的にたどり着いたと言う人が多くいます。硫黄による亜硫酸は古くから使用されていたにせよ、(「自然派ワイン入門」によると、硫黄のワイン保存のための使用は、かなり最近の現象であるようです。大変申し訳ございませんでした。)除草剤、殺虫剤などの農薬や化学肥料、人工培養の酵母などはそもそも無かった歴史のほうが長いのですから、有機栽培も、無農薬も、当たり前といえば、当たり前の事なのかもしれません。もちろん人それぞれ好みがありますし、考え方も違いますが、健全に育ったブドウそのものの味わいのワインは、繊細な和食にもよく合うと思います。ヴァン・ナチュール、自然派ワインとは呼ばれますが、そのような言葉自体も、本来ならばいらないのかもしれません。人々の生活の中に農作物として寄り添って来た、言わばこれこそが、本物のワインです。

(参考「ヴァン・ナチュール 自然なワインが美味しい理由」、「自然派ワイン入門」他)                                                 

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