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訪問をありがとうございます。
今日は『即位礼正殿の儀』の日ですね。
あいにくの天候となってしまいましたが、良い式典・晩餐間になることをお祈りしています。
さて、昨日『これから下町サミットで、CSVのパネラーをします』と書かせていただきましたが、その中で皆さんの反応を見ていたところ、『あぁ、まだCSVの概念は広まっていないんだなぁ』ということを実感したので、今日は『CSVとはなんぞや?』ということについて書かせていただきます。
実はこれ、『CSV』自体を点で捉えるとわかりにくいかもしれないです。
そうではなく、時間軸で考えるとわかりやすいと思うので、興味のある方はお読みください。
以前から言われていますが、現代の社会は『行き過ぎた資本主義』と言われています。
資本主義ってお金の奪い合い(というと大げさだけど…)なので、これが行き過ぎるということは、人々の間で格差を生んでしまうんですよね。
そうして、世界中の様々な地域でバランスが崩れてきました。
その時に、『いやいや、企業って、単に金儲けをすることだけではなくて、社会に貢献する視点を持たないとダメだよね』ということで始まったのが、CSR(Corporate Social Responsibility)なんです。
要は、『企業は自社の利益を追求するだけでなく、社会貢献の視点も持とうよ』ということです。
そう聞くと、なんとなく『あ、いいことしているね』という気持ちになりませんか?
そんなわけで、徐々に企業は単に金儲けをするだけでなく、同時に社会貢献をするという『脱!行き過ぎた資本主義』が流行り出したわけです。
ただ、CSRって、『とにかく企業は社会貢献する!』ということが目的だったため、自社の強みとは関係なく、自分達が気づいた社会の課題解決に取り組んでいたのです。
それは、例えば、金属会社が子ども食堂を支えるための寄付をしたり、食品会社が植林を行ったり、おせんべいを売る会社がゴミ拾いに貢献したり、様々です。
自分達の企業と何の関係のない取り組みでも、『社会課題を解決するための貢献』であれば、何でも『CSR』なので、気づいたことから取り組みを始めるわけです。
で、ですね。
そんなことをしている間に、元来、そろばん勘定をしなければならない経営者は気づくのです。
『あれ?確かに社会課題の解決のための貢献は必要だけど、うちら、そんな余裕なくね???』ってことに。
当たり前ですが、この不景気で先行きの見えない時代に、安定している企業なんて皆無と言ってよいでしょう。
結果、せっかく良いことをしているのに、一方で自社の経営状況も見なければならないわけで、なんか余裕がなくて苦しくなるんですよね。
そんなわけで、CSRでは、安定して継続的な活動は担保できない状況がありました(儲かったら貢献するね、という不安定さ)。
そんな中、マイケル・ポーター教授が言ったんです。
『どうせ社会貢献するなら、自分達がリターンを得られる活動をやらね???』と。
これがCSV(Creating Shared Value)という概念で、『共通価値の創造』と訳されていますが、平たく言うと『社会と自社がWin Winの関係になろうよ』という考え方なんです。
彼のうまいところは、経営者が納得する方法を提唱したことです。
つまり、『戦略的に社会課題を解決すると同時に、自社の利益につながる取り組みをすればいいじゃん』というわけです。
これで、大勢の経営者は『なるほど!』となり、結果、CSVが流行り出したわけです。
例を挙げると、昨夜の下町サミットで出た案ですが、おせんべい屋さんの取り組み提案です。
■この夏に新商品として売り出した『猫せんべい』の売り上げの一部を、猫の保護や里親探し等ボランティアで活動している団体に寄付することを、店頭や商品棚に掲載する。
→購入する人が『なんか良いことした感』を持て、さらに、猫のボランティア団体も助かる。
■ボランティア団体が、行く先々で『あそこのおせんべい屋さんは私たちの活動を応援してくれるのよ』と勝手に宣伝をしてくれる。
→彼らの口コミを基に、おせんべい屋さんの売り上げはさらにアップする。
こんな感じで、これは、まさに私が考えている『小さい経済圏を創り循環させる』ことにつながります。
CSVは『社会課題』という大きな視点を持っていますが、私はむしろ中小企業は『地域課題』に特化して対応した方が良いと考えています。
まとめると、自社の利益も考えつつ、社会の課題解決に貢献する。
これがCSVなんですね。
そんなわけで、じわりじわりと広がりつつあるCSVですが、ご理解いただけたでしょうか?
ここでも何度も書いていますが、このままいくと既存の社会システムは限界が来ます。
その時に、混乱を最小限にするためには、『地域で支えあう力をつけること』で、そのためには、地域の住民と企業と行政がつながっていることが大切なのです(壊れてから繋がりだしても間に合わない)。
そして、それを広めるために5年前から地域活動に参加し、地域の課題解決に取り組んでいる地域活動団体やボランティア団体の冊子を創ったことが、やっと実を結びだしたことを実感し、一人でニヤニヤしながら何とも嬉しい気分になった私でした☆